明治神宮―「伝統」を創った大プロジェクト (新潮選書) の感想
参照データ
タイトル | 明治神宮―「伝統」を創った大プロジェクト (新潮選書) |
発売日 | 販売日未定 |
製作者 | 今泉 宜子 |
販売元 | 新潮社 |
JANコード | 9784106037238 |
カテゴリ | 人文・思想 » 宗教 » 神道・祭祀 » 神道 |
購入者の感想
明治天皇が崩御されて大正時代に入り、東京に下水道などの社会インフラが整備され始めた時代に、実業家渋沢栄一と東京市長阪谷芳郎が明治神宮造営の運動を進めたところから話が始まります。
造営は100年の計の森づくりから始まりました。当時の東京市は煙害がひどかったので大気汚染に強い広葉樹を植林することにしました。市内には排煙処理装置のない小規模の石炭火力発電所が多数点在しており、本書では、最寄りの淀橋浄水所から立ち上る煙の写真が掲載されていましたが、当時の鉄道会社や東京市水道課は自前で発電所を持っていて、そこから排出される大量の煙が社会問題になっていました。
全国から青年団員1万3千人が集まり献木10万本を植樹しました。このような全国動員は教育的効果もあったとしています。
また、東京に表参道というおしゃれな街がありますが、ここは明治神宮の参道のことで大正15年に鉄筋コンクリート製の同潤会アパートが作られて評判を呼びました。つまり、造営は街づくりでもありました。
神宮外苑の絵画館も造営の一環であり、絵画選定、展覧を通じて近代日本の歴史継承、国史編纂の一翼を担いました。横山大観や川合玉堂も参加しましたが、「史実」と「写実」のせめぎあいがあったそうです。
造営に匹敵する昭和のプロジェクト・東京オリンピックでも、人づくり、街づくり、歴史継承やナショナリズムの発露がありました。そして都知事は2020東京オリンピック誘致へ向けて動いています。
2020年は造営からちょうど100年目です。本書は、次の100年を見据えたメッセージでもあります。
造営は100年の計の森づくりから始まりました。当時の東京市は煙害がひどかったので大気汚染に強い広葉樹を植林することにしました。市内には排煙処理装置のない小規模の石炭火力発電所が多数点在しており、本書では、最寄りの淀橋浄水所から立ち上る煙の写真が掲載されていましたが、当時の鉄道会社や東京市水道課は自前で発電所を持っていて、そこから排出される大量の煙が社会問題になっていました。
全国から青年団員1万3千人が集まり献木10万本を植樹しました。このような全国動員は教育的効果もあったとしています。
また、東京に表参道というおしゃれな街がありますが、ここは明治神宮の参道のことで大正15年に鉄筋コンクリート製の同潤会アパートが作られて評判を呼びました。つまり、造営は街づくりでもありました。
神宮外苑の絵画館も造営の一環であり、絵画選定、展覧を通じて近代日本の歴史継承、国史編纂の一翼を担いました。横山大観や川合玉堂も参加しましたが、「史実」と「写実」のせめぎあいがあったそうです。
造営に匹敵する昭和のプロジェクト・東京オリンピックでも、人づくり、街づくり、歴史継承やナショナリズムの発露がありました。そして都知事は2020東京オリンピック誘致へ向けて動いています。
2020年は造営からちょうど100年目です。本書は、次の100年を見据えたメッセージでもあります。