キメラ 満洲国の肖像 [増補版] (中公新書) の感想
参照データ
タイトル | キメラ 満洲国の肖像 [増補版] (中公新書) |
発売日 | 2013-11-08 |
製作者 | 山室信一 |
販売元 | 中央公論新社 |
JANコード | 登録されていません |
カテゴリ | » 本 » ジャンル別 |
購入者の感想
満洲国。軍事的リアリズムとユートピア思想とを奇妙に混交させながら突如として大陸に出現、十三年余りであっけなく歴史の後景へと退いたこの人口国家は、一体なんだったのか。新書版で四百ページ余り、著者渾身の力作といえる。
内容は満洲事変のプランナー・石原莞爾ら陸軍軍人たちの時局認識と戦略、それに協力した在留邦人たちの動向、満洲国の法制・組織、関東軍・日系官吏たちの「内面指導」の実態と翻弄される満洲人の悲哀など多岐にわたるが、著者は豊富な資料を駆使しながら雄弁に描出してゆく。著者の専攻は法制思想連鎖史ということで、その方面の記述は特に興味深い。(例えば満洲国と中華民国の法制の比較、日系官吏の待遇など)
今回の増補版ではさらに、満洲の地誌、日本との交渉史、帝国日本の対満蒙戦略、さらに著者自身の研究スタンス(満洲国研究の意義とは?)などをQ&A方式で懇切丁寧に解説した一章が新たに加わった。
「渾身の力作」と先述したが、あとがきを一読すれば、著者が満州国に寄せる思いがひとかたならぬものであることを実感できると思う。
広く日本近現代史・日中関係史に関心のある方にお薦め。
内容は満洲事変のプランナー・石原莞爾ら陸軍軍人たちの時局認識と戦略、それに協力した在留邦人たちの動向、満洲国の法制・組織、関東軍・日系官吏たちの「内面指導」の実態と翻弄される満洲人の悲哀など多岐にわたるが、著者は豊富な資料を駆使しながら雄弁に描出してゆく。著者の専攻は法制思想連鎖史ということで、その方面の記述は特に興味深い。(例えば満洲国と中華民国の法制の比較、日系官吏の待遇など)
今回の増補版ではさらに、満洲の地誌、日本との交渉史、帝国日本の対満蒙戦略、さらに著者自身の研究スタンス(満洲国研究の意義とは?)などをQ&A方式で懇切丁寧に解説した一章が新たに加わった。
「渾身の力作」と先述したが、あとがきを一読すれば、著者が満州国に寄せる思いがひとかたならぬものであることを実感できると思う。
広く日本近現代史・日中関係史に関心のある方にお薦め。