246 (新潮文庫) の感想
参照データ
タイトル | 246 (新潮文庫) |
発売日 | 2014-10-28 |
製作者 | 沢木 耕太郎 |
販売元 | 新潮社 |
JANコード | 9784101235219 |
カテゴリ | 文学・評論 » エッセー・随筆 » 著者別 » さ行の著者 |
購入者の感想
帯には「メイキング・オブ・深夜特急&血の味」とあります。
これに期待して購入すると後悔されると思います。
私は深夜特急のファンでしたので、これを見て、深夜特急執筆中の裏話や制作過程が読めると思って購入したのですが、そういったエピソードは皆無と言っても過言ではないと思います。
何度か深夜特急に言及する場面がありますが(ほんの数えるほどだけ)、とても「メイキング・オブ・深夜特急」と言える触れられ方ではありません。
沢木さんのエッセイが好きな方は購入されたらよいと思いますが、深夜特急についての内容を期待して購入されるのであれば、やめた方がよいと思います。
これに期待して購入すると後悔されると思います。
私は深夜特急のファンでしたので、これを見て、深夜特急執筆中の裏話や制作過程が読めると思って購入したのですが、そういったエピソードは皆無と言っても過言ではないと思います。
何度か深夜特急に言及する場面がありますが(ほんの数えるほどだけ)、とても「メイキング・オブ・深夜特急」と言える触れられ方ではありません。
沢木さんのエッセイが好きな方は購入されたらよいと思いますが、深夜特急についての内容を期待して購入されるのであれば、やめた方がよいと思います。
沢木ファンにとっては、沢木の私的交流を深く知ることができる貴重な一冊。
1)沢木と恩師
a)小学三年の担任の若い女性教師が書くことの快感を教えた
以下、本書より。
「君という青年について、発言も多いし、パッパッとやってしまう派手な外交的な性格、という見方と、人の反応を神経質に考えたりする面があるんだ、という見方があるようです。日記を読ませてもらって、その内面的な面を少しのぞいたような感じがします。もし気が向くなら、見せるためでない日記を続けてみたらいかがですか。自分をもっと確かめていける足がかりになると思うのですが」
もちろん、だからといって日記を書こうとは思わなかったが、書くということの面白さ、もう少し正確に言えば不思議さを、その時はじめて感得できたように思えた。
自分が書いたものが誰かに理解してもらえるという不思議。自分が書いたものに誰かが反応してくれるという不思議。それはまったく新鮮な経験だった。私はその時、書くということの快感を初めて味わっていたのだ。
b)大学のゼミの担当教授が書く仕事を紹介した
経済学部にもかかわらず、「カミュ」について書いた沢木の卒論に対して、「優」を与えた。
教授会では反対が多かったにもかかわらず、その質を評価した。
銀行を1日で退職して大学院に進もうとした沢木に対して、君に大学院は向いてないと伝え、代わりにルポライターの仕事を紹介した。
2)娘との触れ合い
毎日娘が寝る前に創作話をしてあげていた。微笑ましい関係。
娘が急速に成長していく様子(昔の話をはっきり記憶している、死について理解している、など)
を克明に日記として記録している。
最も可愛いと言われる3歳までの時期に、こうして記録が残っていることは家族にとっても宝物だと思う。
また、この経験が児童向け絵本の執筆につながっている。
家族についてあまり話さない沢木が、本書では娘との触れ合いのことをたくさん書いている。
ただし、妻はほとんど登場しない。
1)沢木と恩師
a)小学三年の担任の若い女性教師が書くことの快感を教えた
以下、本書より。
「君という青年について、発言も多いし、パッパッとやってしまう派手な外交的な性格、という見方と、人の反応を神経質に考えたりする面があるんだ、という見方があるようです。日記を読ませてもらって、その内面的な面を少しのぞいたような感じがします。もし気が向くなら、見せるためでない日記を続けてみたらいかがですか。自分をもっと確かめていける足がかりになると思うのですが」
もちろん、だからといって日記を書こうとは思わなかったが、書くということの面白さ、もう少し正確に言えば不思議さを、その時はじめて感得できたように思えた。
自分が書いたものが誰かに理解してもらえるという不思議。自分が書いたものに誰かが反応してくれるという不思議。それはまったく新鮮な経験だった。私はその時、書くということの快感を初めて味わっていたのだ。
b)大学のゼミの担当教授が書く仕事を紹介した
経済学部にもかかわらず、「カミュ」について書いた沢木の卒論に対して、「優」を与えた。
教授会では反対が多かったにもかかわらず、その質を評価した。
銀行を1日で退職して大学院に進もうとした沢木に対して、君に大学院は向いてないと伝え、代わりにルポライターの仕事を紹介した。
2)娘との触れ合い
毎日娘が寝る前に創作話をしてあげていた。微笑ましい関係。
娘が急速に成長していく様子(昔の話をはっきり記憶している、死について理解している、など)
を克明に日記として記録している。
最も可愛いと言われる3歳までの時期に、こうして記録が残っていることは家族にとっても宝物だと思う。
また、この経験が児童向け絵本の執筆につながっている。
家族についてあまり話さない沢木が、本書では娘との触れ合いのことをたくさん書いている。
ただし、妻はほとんど登場しない。
ノンフィクション小説なのにひとつの物語のように読ませる、著者の日常が、面白く興味深い、しかしいつも、作品を読むたびに、沢木耕太郎の情景と人間を見る、観察力、感性に、感心させられる。