幻滅 〔外国人社会学者が見た戦後日本70年〕 の感想

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タイトル幻滅 〔外国人社会学者が見た戦後日本70年〕
発売日販売日未定
製作者ロナルド・ドーア
販売元藤原書店
JANコード9784865780000
カテゴリ »  » ジャンル別 » ノンフィクション

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著者は1960年代の初めにこのように書いていた。「私がかつて住んだことのある二つの国(日本とカナダ)と比べてイギリスをより住みよい国だと思わせる事柄は僅かに二つしかない。その一つはイギリスの学問、文学、出版、報道の最良のもののうちに脈打っている誠実、ウイット、さらには高い格調とみなぎる知性であり、他の一つはイギリス左翼の伝統である社会的平等と他人の悲惨に対する深い関心である。」ここに上げられた最良のものこそが著者自身がその後一貫して目指したものに違いない。
文字通り戦後70年にわたって日本の社会全般について学問的業績を積み重ねてきた著者が、日本に「幻滅」し、往年の「親日家」から「嫌日家」へと転換したという。著者の目に日本はどのように変化して見えたのだろうか。日本人としては「幻滅」という言葉は使いたくない。しかし、現実の日本に危うさを感じ、心許なさを持ちながら日を送る日本人は少なくない。この70年の間の日本社会の変貌は大きいがそのただ中にいる者にはそれが何であったのかは見極めがたい。著者の幻滅は社会の在り方に対してばかりではなく、思考力の劣化した日本の論壇にも向けられる。
多方面にわたる議論の中から一つだけ憲法改正問題を取り上げると以下のようになる。著者は1993年に「憲法が不都合なら正直に改正しなさい、今の憲法を踏みにじるよりいい」と書いて「多くの左よりのいわゆる『護憲派』の友だちを失いました。」最近も憲法9条修正絶対反対の運動を起こした知人に、「どうして防衛姿勢だけをとるの。憲法改悪反対・憲法改良推進会を作らないの?」と聞いたらショックだったみたいと言う。「今の安倍内閣時代にはもう遅いでしょうが、あの本を書いた1993年には、私が主張したように、日本人の手によって、日本の軍隊の役割を侵略を許さないように規定する『ホンモノの平和憲法』を制定できる可能性がありました。」憲法9条の形骸化がさらに押し進められた今になってみると護憲派は失った20年を噛みしめるべきではないだろうか。「自分の独立性を犠牲にして、執行権に屈服してきたとしか言えない」最高裁のポストに誰が任命されるかについても、アメリカとは対照的に、関心を持つ人は少ないし、メディアも騒ぐことがない。

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