おおきな木 の感想

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参照データ

タイトルおおきな木
発売日販売日未定
製作者シェル・シルヴァスタイン
販売元あすなろ書房
JANコード9784751525401
カテゴリ »  » ジャンル別 » 文学・評論

購入者の感想

原作シェル・シルヴァスタインの「おおきな木」と「少年」の物語。
原作ではThe Giving Treeを訳者は「おおきな木」としています。

「おおきな木」は「少年」が大好き。
「おおきな木」は「少年」が大きくなると、「おかねが必要だから」と「りんご」をあげたり、「家がいる」からと「えだ」をあげたり、「ふねをおくれ」というので「みき」をあげたりしてしまう。
それでも「おおきな木」は「少年」が大好きで・・・というお話。

この「おおきな木」を与える木、母なる木、御神木と読み変えてみるとどうなるでしょう。
シンプルなストーリーだからこそ、さまざまな見方ができると思いました。

親から注がれる無償の愛と少年の育ち、そして旅立ち・・・と、その後のお話。
木から注がれ続ける少年への愛のかたちに、残酷さを感じ泣けました。
母から注がれる無償の愛を、少年は気がつかないまま育っていくのです。
少年がそのことに気がつくのは、もうずっと時間が経ってからで、少年が気がついたときには、母も少年も年老いています。
時として、子どもは残酷な存在なのでしょうか。いや、残酷なのは時間でしょうか。

"And the tree was happybut not really."というのは、木は少年が旅立って幸せだった・・・本当はそう思ってなかった・・・?
子離れする母の気持ちを思えば、当然であり、一番、切ないシーンです。

「自分の子どもに自分の介護なんかしてほしくない」と言っている親がたくさんいると聞いたことがあります。
自分が年老いて弱っていく姿なんか見せたくないと思うからでしょうか。
それとも、強がりでしょうか。
やっぱり、親でも死ぬ時は不安だろうし、子どもとできれば一緒にいたいと思うんじゃないでしょうか。
そう考えたら、涙がボロボロでました。

少年の立場として読めば、今まで育ててもらった親からの愛情に感謝し、親が年老いてからの介護問題をどうしていけばいいだろうか?と読むこともできそうです。

軸になる一行

And the tree was happy…but not really. を

ほんだきんいちろうさんは
「きは それで うれしかった…だけど それは ほんとかな」

村上春樹さんは
「それで木はしあわせに…なんてなれませんよね」

と訳している。

どちらも、翻訳者の主観が、強く出すぎてる気がする。

but not reallyは、「あ、そうでもないか」とか「ま、よくわかんないけど」
みたいな、はぐらかし言葉。だから

そして木は幸せだった…のかな。

ぐらいサラッと訳すのが
原作のニュアンスに近いのでは。

お話の解釈としては、某ブログにあった
中学1年生の感想
「少年は木を切り倒す時、根元の(木と少年の相合傘の)
ハートマークを残して切り、切り株になっても
ハートは残ってた。少年はそんなに悪い子じゃないと思う」
というのが、本質をとらえていると思った。

原作者のシェルは、この本で言いたかったのは
「与え、与えられること」と語っている。

愛は惜しみなく与え、惜しみなく奪う。

フロムの言う(まさにこの木のように)
見返りを求めず、ひたすら与え尽くすのも、愛。

少年のように
自分の弱さをさらけだして甘えられるのも、愛。

そして、愛は常にすれ違う。
人はそれぞれだから。

シェルは「but not really」に、
武者小路実篤の
「 君は君 我は我なり されど仲良き」と同じ、

人はみんな違って
「愛している、愛されている」という思いにも
すれ違いや錯覚があるけど、

でも、この世に生まれて、だれかを
愛し、愛されていると感じられること、
自分のありのままを受け止めてもらったり

昔、リンゴの木と子どもは仲良しでした。やがて子どもは大人になり…リンゴの木と昔のように遊ばなくなりました。
大人になった子どもは久しぶりに木のそばにやってきます…そして…色々な物を欲しがります…その時、木は…。

とても感慨深い絵本です。 木の無償の愛には心を打たれ、涙腺が緩みそうになります。大人の方にぜひ読んで頂きたいです。

近年、村上春樹さんの新訳が刊行されましたが、ほんだきんいちろう氏の訳の方が断然いいです。村上春樹さん訳の方が売れるのでしょうが、訳のセンス、この絵本の問いかけとは少し離れている様に思われます。

傑作絵本の新訳。
旧訳が、無償の愛についての物語を平易な日本語で情感豊かに見事に再構築したのに対し、新訳は、原著の平易な英語を忠実に日本語に直し、可能な限り自然にしたものであるように感じられた。
その結果、物語としての情感の豊かさはなりを潜めたものの、それまで不明確だった部分がはっきりしてきている。
特に船が欲しいと言う「ぼうや」と木のやりとりは新訳が成功している部分だと感じた。
「こころがかなしすぎる」
「ここじゃないずっととおくに」という表現は、旧訳よりも雄弁なのではないだろうか。
読み比べてみるのをお勧めしたい。

旧版も所持しています。
大好きで大好きで、何度読んでも泣いてしまうくらい好きな本です。
訳者の本田先生が亡くなられその後絶版となってしまった「おおきな木」がベストセラー作家の訳で出版されていることを知って読んでみました。
が、がっかりです。
翻訳というよりも直訳。
絵本であり詩でもある本作の情緒が何も感じられない訳です。

そして大きく変わった
「but not really」の訳仕方ですが、ここは部分否定だと思うので村上訳は誤訳ではないかと思ってしまいます(本田訳もやや意訳ですがとてもいい訳だと思っています)。
旧版を持っていて良かったです。
図書館など、旧版が残っているところで長く残してほしいと思います。0

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