ブロード街の12日間 の感想

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タイトルブロード街の12日間
発売日販売日未定
製作者デボラ ホプキンソン
販売元あすなろ書房
JANコード9784751524800
カテゴリ文学・評論 » 評論・文学研究 » 外国文学研究 » 英米文学

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1854年、ヴィクトリア朝時代、ロンドンのブロード街でコレラ(青い恐怖)が発生。当時、コレラ菌は発見されておらず、瘴気(汚れた空気)で伝染すると考えられていた。この時のコレラ発生で疫学調査を行い、その感染源を突き止めたのがジョン・スノウ博士。本書は、この史実をもとにした物語。

少年イールは秘密を抱えながら、ライオン醸造所でメッセンジャーボーイをしたり、スノウ博士の実験動物の面倒などをみて、自活をしている。彼は両親を失っているが、持ち前の利口さを発揮して、可愛がってくれる人も多い。ただ、彼の利発さを職場の同僚が妬み、盗みの疑いをかけられる。自身の無実を証明するために仕立て屋のグリッグスさんを訪れるが、彼はコレラにかかっていた。コレラが拡大し、イールの友人や知り合いたちが次々に倒れていくなか、イールはスノウ博士に彼らの治療を依頼する。コレラの治療法はないと言うスノウ博士だが、感染経路や感染源の特定に乗り出す。博士は「瘴気説」とは違う「異説」を抱いており、それを証明するために、イールに助手となって協力して欲しいと言うのだが…。

史実に加え、スノウ博士、ホワイトヘッド牧師、ウィリアム・ファー博士、スノウ博士の家政婦ウェーザーバーンといった実在する人物も登場するが、一方でイールや女友達のフローリーなど著者が生み出した人物が活躍して、コレラの謎に迫っていく。
現代とは違い、少なくない子どもが、小さいころから働いている様子が描かれる。川の泥さらいなど、人に厭われる仕事をしながらも、知恵と勇気を発揮し、少しでもましな明日を夢見る少年たち。そんな少年たちを利用しようとする悪辣な大人たちもいれば、けなげな子どもたちに親切にして、愛情を分け与える大人たちもいる。友情はもちろん、肉親への強い愛情、淡い初恋など、人が抱く様々な感情も鮮やかだ。

コレラで二度と友人を亡くさないために、大切な秘密を守るために、わが身を捨てて奮闘するイール、さらに当時の常識に敢然と挑むスノウ博士の“強さ”が目立つ。ただ、彼らのその“強さ”の陰には、他人への深い愛が垣間見える。

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