ワンパンマン 7 (ジャンプコミックス) の感想

マンガとの違いを知りたかったのですが、思ったより忠実だったんでどうしようかと（笑）

前の巻から半年という、比較的長い期間を挟んでの発売となったこの巻。
本編連載中も幾度もの加筆修正やページの追加、果てはほぼ一話分の描き直しなど、
これまで以上に作画へのこだわりを見せており、難産であったものの
その完成度はまさに圧巻です。

特に、本編の山場で見せた見開き12連発という、暴挙にも近い実験的すぎる演出は
漫画というジャンルの可能性に挑んだ本作ならではの渾身の"一撃"であると言っても
過言ではありません。

他にも、この巻のために用意した描き下ろしの番外編や、幕間のおまけ漫画など、
表紙から裏表紙まで全ての紙面に、読者を楽しませたいという情熱が詰まったマジの一冊です。

惜しむらくは、前述の見開き連発が本という媒体にはいささか不向きであるという点でしょうか。
キャラクターがページのちょうど真ん中に配置されたものも多いので、せっかくの見開きが
ちょっと台無しになっています。作中でも屈指のクライマックスシーンだけにこれは残念。

しかし、これは裏を返せばwebで見せる事を主軸とするこの漫画の基本姿勢を表すものとも言えます。
実際、掲載サイトの「となりのヤングジャンプ」に行けば、完全な状態の見開きを見ることができます。
このように、紙は紙・webはwebと双方の長所と短所を理解し、その違いを楽しむことこそ
この漫画の正しい読み方と言えるのではないでしょうか。

本編のほぼ全てを無料で公開しているにもかかわらず、
単行本も大ヒットする秘密は、こういう所にあるのだと思います。