CD付 クラシックギターのしらべ 不朽のスタンダード編 (アコースティック・ギター・マガジン) の感想

彼の模範ＣＤがかなり酷評されているようですが、私個人的にはそれほど悪いとは思えません。これが単体のリリースされたＣＤならともかくとして、あくまでＣＤは「おまけ」です。確かに弾き方の粗さは否めませんが、私的にはむしろ素敵な演奏に映ります。まず、タッチが素晴らしい。技術云々でなく、その音色が私好みです。音楽の好みなんてかなり主観的なので何ともいえませんが、重箱の隅をつつくような批評こそが、ギター界でクラシックギターが疎ましく思われる存在にされるのかもしれません。私はクラギがよりポピュラーな存在として位置付ける意味で、このようなシリーズ本は非常に有益だと思います。
また、メインである「本体」ですが、いわゆる難曲といわれる物を彼独自に弾き易いようにアレンジされていますが、オリジナル歪曲という意味で賛否両論あるでしょうけど、「クラシックの大衆化」に貢献している点で、その度数が高いかと思います。そして、特筆するべきは彼の編曲能力です。映画音楽等のアレンジ技術。これは、私自身ギターソロ楽譜相当所有していますが、彼ほど卓越したアレンジ技術を持ったギタリストはいないと断言します。弾き易さ、演奏効果、弾き甲斐（ある程度の技量を必要とする）など３拍子揃ったという点で、むしろこちらに視点を集め、評価すべきだと思います。