チャイコフスキーがなぜか好き (PHP新書) の感想
参照データ
タイトル | チャイコフスキーがなぜか好き (PHP新書) |
発売日 | 販売日未定 |
製作者 | 亀山 郁夫 |
販売元 | PHP研究所 |
JANコード | 9784569803333 |
カテゴリ | エンターテイメント » 音楽 » 音楽理論・音楽論 » クラシック音楽 |
購入者の感想
「チャイコフスキーがなぜか好き」というタイトルでこの本を買うと、全く知らないロシア音楽の話や訳の分からないタイポロジー分類(ショスタコ派か否かなど)等、戸惑う読者もいるかもしれない。ロシア、というかソ連時代に長くかの国にも滞在されたロシア文学者、しかも自身でもチェロを演奏されるという。こんなに薄い本で、これほどロシア音楽を深く、暴力的に語られたものは少ないと思う。チャイコの5番が運命を意識したもの、終楽章の最後の4つの音は、運命の同期をひっくり返してたたみかけたもの、というのは納得できても、チャイコフスキーの音楽は心に響かない、俗人の魂を揺さぶるだけの究極の狂気、など、解説されると、チャイコフスキーをロシア音楽の代表として聴いている愛好家達は、この本のタイトルは、いったいなんだろう、と恐ろしくなるかもしれない。でも、著者が「熱狂的なルネッサンス人」とこのかわいそうな作曲家を愛していることは読んでとれる。グリンカ、ムソルグスキー、ショスタコーヴィチへの音楽への思い、と知られざる作曲家たちの興味深い分析に引き込まれる。このタイトルは、失敗、で成功、か。