世界がわかる宗教社会学入門 (ちくま文庫) の感想
参照データ
タイトル | 世界がわかる宗教社会学入門 (ちくま文庫) |
発売日 | 販売日未定 |
製作者 | 橋爪 大三郎 |
販売元 | 筑摩書房 |
JANコード | 9784480422279 |
カテゴリ | ジャンル別 » 人文・思想 » 宗教 » 宗教入門 |
購入者の感想
宗教や思想に興味のある方には不向きです。あくまで物知り的知識と、一般的に社会にどう影響しているかについて書かれたもので、客観的な知見と主観的な見解が混在して記述されているので読んでいて疲れます。
教科書的な説明がなされてはいるものの、解説がブツ切り、という印象が否めない。これは、著者自らもあとがきで記している通り、本書が、大学の講義で使ったハンドアウトにそのままコメントを付け加えた、という体裁を取っているためでもあるが、それにしても、もう少し、話(論理)の大きな流れ、があると、もっと読みやすかったのではないか、と思わざるをえない。
また日本の宗教に関して、「神道」にまつわる章がまったくないことも、残念でならない。明治の近代化における神道の国教化はもちろん、神道の歴史的形成や、天皇家との関係、神と仏をごっちゃにする「神仏習合」の思想など、その詳しい解説を抜きにしては、日本の宗教(社会)を語ることは難しいのではないか。
ただ、儒教社会である当時の中国が、仏教という本質的に異なる外国の宗教を受け入れた理由に言及したり、ルターやカルヴァンと日本の鎌倉新仏教を、同じ宗教改革として捉えるなど、世界史、日本史の枠を超えた、柔軟な問いの設定が行われており、興味深かいところも多かった。個別の宗教の知識を踏まえた上、このような柔軟さと大胆さでもって、世界の宗教とその民族や社会の関係性について一貫して論じるような、アドバンストステージ版の執筆に期待したい。
また日本の宗教に関して、「神道」にまつわる章がまったくないことも、残念でならない。明治の近代化における神道の国教化はもちろん、神道の歴史的形成や、天皇家との関係、神と仏をごっちゃにする「神仏習合」の思想など、その詳しい解説を抜きにしては、日本の宗教(社会)を語ることは難しいのではないか。
ただ、儒教社会である当時の中国が、仏教という本質的に異なる外国の宗教を受け入れた理由に言及したり、ルターやカルヴァンと日本の鎌倉新仏教を、同じ宗教改革として捉えるなど、世界史、日本史の枠を超えた、柔軟な問いの設定が行われており、興味深かいところも多かった。個別の宗教の知識を踏まえた上、このような柔軟さと大胆さでもって、世界の宗教とその民族や社会の関係性について一貫して論じるような、アドバンストステージ版の執筆に期待したい。