これからのマルクス経済学入門 (筑摩選書) の感想

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タイトルこれからのマルクス経済学入門 (筑摩選書)
発売日販売日未定
製作者松尾 匡
販売元筑摩書房
JANコード9784480016362
カテゴリビジネス・経済 » 経済学・経済事情 » 経済学 » 経済学入門

購入者の感想

本書を読むと、マルクス経済学は哲学や思想以前に、まず、世の中を理解する強力なツールであることが分かります。見かけのお金のやり取りではなく、総労働時間で経済を考えるのがマルクス経済学の根幹であり、強みであることがわかりました。

特に強さを発揮する場面は、p183〜p191の国の財政の話のように思えました。総労働時間の配分を行う手段が税金であって、決して企業や家計の収入と同じように考えてはならない、ということが分かります。消費税を上げるということは消費財に向かう労働を減らして(浮かせて)、他の分野に回すというのが目的である。なので、「消費税を上げても消費が減らない」とか「消費税を上げて消費が減って困った」などというのが最初からおかしなロジックであることが分かります。
また、失業がある条件では総労働時間の余力があるので、日銀が紙幣を印刷して(無から資金を作って)、政府がそれを元手に財政出動しても、インフレは起こらず誰も困らない、というのが明確に説明されています。巷で言われる国の「借金問題」の大部分がバーチャルな話であることがわかりました。
よく経営コンサルタントの考えで国の財政を議論しているのを見かけますが、この本を読んで、コンサルタントのノウハウを活かせば活かすほど、国の経済の本質からずれるのではないか、と思いました(この本にコンサルタントの話が書いているわけではなく、私の感想です)。

このように目の覚めるような強力なツールを与えてくれる良い本ですが、解説に難がないわけでもないです。例えばp155〜p156で現在の経済は単純商品生産社会ではないという説明がありますが、p167で単純商品生産社会の話に戻ってそのまま議論を進めています。単純商品生産社会だけで最後まで議論して、応用問題としてそうじゃない世界を議論した方が読みやすい気がしました。

とはいえ、全体として柔らかい文章で読みやすく、骨のある内容を分かりやすく解説してくれます。「これから」マルクス経済学を学ぶ人も、「これまで」のマルクス経済学にとっつきにくかった人にもオススメです。

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