後白河法皇 (幻冬舎新書) の感想

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参照データ

タイトル後白河法皇 (幻冬舎新書)
発売日販売日未定
製作者河合 敦
販売元幻冬舎
JANコード9784344982468
カテゴリ »  » ジャンル別 » ノンフィクション

購入者の感想

後白河法皇は、保元・平治の乱を切り抜け、平清盛、木曽義仲、源義経、源頼朝といった次々に現れる武士のリーダーとあるときは手を結び、あるときはその挑戦に敗れ、あるときは互いを戦わせて優勢な方に肩入れし、綱渡りのように政権を維持し、日本一の大天狗=老獪な君主というイメージが私にはあったが、著者は否定する。

では、後白河の本性は何か。一日中今様を歌う趣味人で、庶民や宋人との歓談を楽しみ、好奇心旺盛でどこへでも出かける。他方、人の好き嫌いが激しく、わがまま・感情的で、やるとなったら必ずやりとげるこだわりの強い人。常識外れの行動が多く、腹心からも暗主といわれるほど。

そういった後白河の性格分析、および平治の乱への後白河の関わりに関する新説は先行研究からの引用がベース。

では本書独自の特徴は何か? 第一は例えの上手さ。後白河=のび太、平清盛=ドラえもんだとし、後白河にとって清盛は困った時に泣きつくと夢を叶えてくれる存在だった、と両者の蜜月時代を説明する。ところが、後白河が僧兵の取り締まりを求めても動いてくれないことがあった。いわばドラえもんがジャイアンに味方するようなものであり、後白河のショックは大きく、清盛を憎むきっかけになったとはわかりやすい。また、本書は後白河が生きた時代背景を述べる必要から、直接の関係はない平家物語の有名エピソードにも多数触れているが、平易な講談調で、義経はイケメンだったかと脱線しつつ、一気に読ませる。

少年の心を持ったままの人間が政権を維持できた理由は何かを断言するのが第二の特徴。それは意識的か否かは不明として、庶民を泣かせないよう、都の安寧秩序を守ることを行動指針としたこと。なるほどと納得できる逸話が多い。

本書は、頼朝の征夷大将軍就任直前までの激動の歴史の旧時代側の不変の主役・後白河を詳しく知るのに役立つ。

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