太陽を盗んだ男 [DVD] の感想

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参照データ

タイトル太陽を盗んだ男 [DVD]
発売日2006-06-23
監督長谷川和彦
出演沢田研二
販売元ショウゲート
JANコード4527427626430
カテゴリDVD » ジャンル別 » 日本映画 » ドラマ

購入者の感想

 中学の理科教師・城戸は原爆を手作りすることを決意。サラ金からの借入金と東海村から強奪したプルトニウムとを用いて、自宅安アパートの台所で原爆を作りあげる。そして、完成した原爆で城戸が国家に要求したことは…。
 79年公開の映画ですので、さすがに時代の古さを感じさせる部分はありますが、一方で「これって本当に四半世紀も前に製作された映画なの?」と驚きを禁じえないほど斬新な要素がそこかしこに散りばめられています。
 例えば城戸とその生徒が乗るバスが乗っ取られ、犯人が皇居へ向かうことを要求するシーン。天皇や皇居ということを題材にすると聞くだけで小市民の私はドキドキしてしまうのですが、実際に皇居の門まで出向いて撮影したショットが使われていると聞き、二度驚きます。
 しかし皇居が登場するのは映画的な際物狙いではありません。
 バス・ジャック犯は戦死した息子のことを知りたくて銃と手榴弾という武装で天皇との面会を求めます。旧式の武装で国家に対して壮大な要求がなされるのです。
 一方、後に原爆という壮大な武装で城戸が国家に突きつける要求の「程度」は、苦笑を禁じえないほど滑稽です。バス・ジャック犯との大きな落差は、戦後から70年代にかけて日本が経てきた時代格差の反映です。「何をしたいのか分からない…」という感覚を多くの若者の心に残してしまった時代差ともいえます。
 その意味でこの映画は時代の空気を正確に写し取った作品といえます。そして残念なことに、「何言っているんだよ、城戸先生」と言えるだけの確信を持った若者が25年後の今の日本にそれほど多くはいないからこそ、この作品は今も十分通用する映画であり続けるのです。
 なかなか見事な映画といえます。

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