日本の財政 (中公新書) の感想

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参照データ

タイトル日本の財政 (中公新書)
発売日販売日未定
製作者田中 秀明
販売元中央公論新社
JANコード9784121022288
カテゴリジャンル別 » ビジネス・経済 » 経済学・経済事情 » 財政学

購入者の感想

日本の借金は1000兆円を越し、先進国の中でも最大の赤字国となっている。
なぜ日本の財政再建はうまくいかないのか。
本書では、諸外国との比較を通じて、日本の財政の制度的欠陥を浮き彫りにする。

財政再建の成功と失敗を分けるのは、事前・事後のコミットメントの存在、独立財政機関による監視の有無などである。
特に財政再建を目標に設定すると、黒字化に成功した瞬間に規律が緩んでしまう、という問題はアメリカなどで生じている。
日本では決算に関する国民的関心がそもそも薄く、制度的抜け穴が非常に多く、財政ルールを徹底させるための制度がほとんど存在しない。
予算の編成過程でも、大臣が一人でも拒否するとまとまらない閣議は妥協やなれ合いを生みやすく、さらに首相の権限はあまり強くないので族議員などが跋扈している。
筆者は、財政責任法の制定や独立の財政機関の設置などを提案する。

本書のタイトルからは「社会保障費が多いので〜」とか「消費税を導入すると〜」みたいな財政の中身の話を想像しがちだろう(自分もそうだった)が、実際には財政を巡る制度的な話がほとんどである。
制度運用の話なので、かなり固くて政治分析の学術書に近い感覚を覚える。
やや読者を選ぶ本の気はする。

これほど日本の財政問題に真正面から取り組んだ著作は読んだことがありません。私も著者と同じ疑問をずっと持っていました。財務省の職員なら財政問題に関心を持つのは当たり前で、いつか財政健全化に舵を切る方向へ努力してくれるだろうと期待していました。がしかし、この国の政治家と官僚の関係性、予算制度、政治制度から困難なことを認識させられました。先日、2014年度一般会計予算案が発表されましたが、来年4月の消費税増税のアドバンテージは社会保障関係費の自然増、公共事業関係費、防衛関係費上積みなどの歳出増、それに伴う国債発行高の高止まりにより霧散していくような状況です。操作された楽観的な景気動向の数字で虚構の景気上昇に国民は踊らされ、危機意識の共有はさらに遠のいて、中長期的(5〜10年)な財政破綻リスクが潜在的に高まっていることを危惧します。

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