新訳 フランス革命の省察―「保守主義の父」かく語りき の感想

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参照データ

タイトル新訳 フランス革命の省察―「保守主義の父」かく語りき
発売日販売日未定
製作者エドマンド バーク
販売元PHP研究所
JANコード9784569774534
カテゴリ歴史・地理 » 世界史 » ヨーロッパ史 » ヨーロッパ史一般

購入者の感想

本書は『フランス革命の省察』の抄訳だというので、少々買うのをためらっていたのだが、カスタマー氏のレビューを見て読んでみた。
読後感をひと言でいえば、とても読みやすく抄訳されていて、感心した。

バークの文体はいささか装飾過多で、そのうえレトリックを駆使するため、一読しただけでは頭に入らず、おなじ行を読み返さないといけない場合が少なくない。
佐藤氏はそのあたりの<もつれ>を思い切ってカットしたり、短いセンテンスに切り分けたりして、バークの論の大筋を追えるようにしてくれた。
これはこれでひとつの功績だと思う。

また、バーク特有の用語もかなり的確に訳されている。
たとえば、“prejudice”という、バークが重視する言葉。
半沢孝麿訳(みすず書房)も、中野好之訳(岩波文庫)も、これを「偏見」と訳している。

その文章の一例。
《我々は……我々の古い偏見を捨て去るどころかそれを大いに慈しんでいること、また、……それを偏見なるが故に慈しんでいること、しかもその偏見がより永続したものであり、より広範に普及したものであればある程慈しむ……》(半沢訳)

おなじ箇所を佐藤氏はこう訳している。
《われわれは古くさい固定観念として捨て去るどころか、たいそう大事なものと見なす。固定観念であるにもかかわらず大事にするのではない。固定観念だからこそ大事にするのだ。そして固定観念の中でも、長く存続してきたものや、多くの人々に浸透しているものは、わけても尊重されるべきだと考える》

“prejudice”とは 、前もっての(pre)判断(judice)だ。
したがって、「偏見」という訳語でいいわけだが、これを――イギリス人ならすでに(pre)常識的にもっている判断(judice)、と理解するなら、佐藤氏の「固定観念」という訳もなかなかいいのではないか。

『フランス革命の省察』という外国の町を歩くと仮定して、佐藤氏はメインストリートを案内してくれる。
だから、町の全体像が見えてくる。

そうすれば、もう道に迷うことはない。

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