熱・統計力学 (物理入門コース 7) の感想

大学で使う熱統計力学の教科書としては易〜普通くらいのレベルにあたると
思いますのでこれ1冊で学部の内容が全て終わる、というわけではないですが
熱統計力学を専門としない方ならばこの1冊で十分です。熱統計力学を専門と
する方は指導教官なり先輩なり周りを見て本書で立ち止まらずより進んだ本を
買ってください。ちなみに私の学科でいちばん使われている教科書でした。

熱統計力学で大事なのは系の平均的挙動を俯瞰するという考え方に早く頭を切り
替えることです。求めたいのは系の平均値であり、そのためには実世界を
ものすごく大胆に簡略化したモデルを考えます。私がその考え方に頭を切り替え
られるようになったのは本書の量子統計の章を読んでからです。ぜひおすすめ
します。

それと、数学的知識はほとんど必要なく、スターリングの公式という摩訶不思議な
n!の近似式が突然出てくることはこの分野のカリキュラムでは仕方ないとして、
それ以外は微積分をちゃんと理解している高校生は十分読めるとおもいます。
チャレンジしてみてください。