反日記事の原点 Voice S の感想

本書のタイトルには『反 日 記 事』とあり、このページの「商品の説明」にも「日 中 国 交 正 常 化（１９７２年）の前、７０年の 国 交 回 復 交渉の時期において、ひたすら中国におもねった『朝 日 新 聞』の報道姿勢こそ『侮 日』と『反 日』を生んだ原点……中国共産党に『強 硬 に出れば日本はいくらでも 譲 歩 する』と思わせ、わが国に 重 大 な 禍 根 を残す」とあって、『朝 日 新 聞』を巡る『反 日』記事と中国共産党の“独 善 的”な対日政策の本質（歴史）を検証するように思えるが、著者の論考にしては本タイトルは内容（趣旨）を的確に表象していないように思う。確かに『朝 日 新 聞』の『反 日 記 事 の 原 点』とも言える、１９７０年の「日 中 覚 書 貿易交渉」に参加した当時の『朝 日 新 聞』社長の（中国に阿るような）「訓 示」、「中 国 の 旅」連載記事などの言及があるが（「日 中 共 同 声 明 に 拘 束 されない？」のトピックの一部）、これらは本書の趣旨とは言い難い。本書は「戦 時 徴 用 訴 訟をはじめ、日本企業に対して 法 外 な金額を求める中国の 賠 償 請 求問題……現代とまったく変わらない、１９３０年前後の『タ カ リ』の構造」を中心に、もっぱら「日 清 戦 争」以来の中国の“独 善”と債務の「踏 み 倒 し」の歴史的本質を検証・考察するものである。

本書の構成・内容は、（１）日 中 共 同 声 明 に 拘 束されない？ーー現状の日本企業を「狙 い 撃 ち」するような訴 訟や法規制、明治時代以降の 対 中「円 借 款」推移と残高、その「踏 み 倒 し」の実情、「尖 閣」問題と「円 借 款」停止と中国の「官 製 暴 動」の関係性、日本の災難と中国の強 硬 性など、（２）下 関 条 約 の 反 故 が嚆矢ーー「日 清 戦 争」の目的から「満 洲 事 変」への過程、「尖 閣」領 有の経緯など、（３）激 烈 を極めた 反 日 ア ジ 演 説ーー中国の三政府の「鼎 立」と混乱と「暴 動」、「南 京」の混乱と日本の対応など、以上３件のトピックからなる。この中でも興味深いのは、やはり緻密なデータを挙げながら、明治期以来の日本の対中「円 借 款」の金額、１９７９年以降の「円 借 款」総額、未返済残高に加え、２００５年の「新 円