霍去病―麒麟龍彗星譚〈上〉 (河出文庫) の感想
参照データ
タイトル | 霍去病―麒麟龍彗星譚〈上〉 (河出文庫) |
発売日 | 販売日未定 |
製作者 | 塚本 青史 |
販売元 | 河出書房新社 |
JANコード | 9784309405957 |
カテゴリ | ジャンル別 » 文学・評論 » 文芸作品 » 日本文学 |
購入者の感想
古代中国の歴史小説は 他の著者の作品も愛読しているが 歴史小説の執筆は 物語の中の一つの事象の年月を確定するだけでも大変な苦労だと思う。ましてや文字が存在しない有史以前…あるいは存在しても現在より遥かに語数が少ない時代にまで遡ることは 語彙の解釈にも不確かなことも多々有るだろうことを考えると これらを咀嚼して適正な一連の筋書きに組み立てる著作者の熱意には心から敬服する。その点で 塚本青史著作の表記の二作品を読んで
軽い感動さえも覚えたといえる。 特に「霍去病」の第26章の劉徹と桑弘羊との下問・応答の箇所の記述を読むと この筆者に我が国の高位政治家ななって欲しいよと心底思った。その意味では五つ星のお奨め作品だ。 ところが…文体の散雑さが随所に有り 加えて会話体に落語の八つぁん熊さんの語調や関西弁まで多様してあるため いささか熱心に読み進む意欲が損なわれる。 このために作品全体の評価としては三ツ星というところだ。
軽い感動さえも覚えたといえる。 特に「霍去病」の第26章の劉徹と桑弘羊との下問・応答の箇所の記述を読むと この筆者に我が国の高位政治家ななって欲しいよと心底思った。その意味では五つ星のお奨め作品だ。 ところが…文体の散雑さが随所に有り 加えて会話体に落語の八つぁん熊さんの語調や関西弁まで多様してあるため いささか熱心に読み進む意欲が損なわれる。 このために作品全体の評価としては三ツ星というところだ。
中国の武将、と聞くと、関羽や張飛などの三国時代の武将、または劉邦や項羽など秦の滅亡から漢の成立の時代の武将を思い浮かべる人がほとんどだと思います。他の時代にも、名将・知将がいなかったワケではないのですが、日本ではあまり知られておらず、いまひとつマイナーなままです。
本書の主人公、霍去病もそんな一人。読めない人も多いのでは。日本語読みで「かくきょへい」と読みます。前漢の武帝の時代、何度も漢の領土に侵攻してきては、街を焼き略奪を繰り返していた匈奴の軍との戦いで、比類なき武功をたてて将軍の位につきながらも若くして夭折した人物。さぞやすごい人だったんだろうな。
ただ、本書での霍去病は、自分の力を鼻にかけた、傲岸不遜な男にしか読めません。「生意気な若武者」くらいだったなら、まだ許せたのに、どうも好きになれませんでした。霍去病よりも、やはり匈奴との戦いで武勲のあった叔父の衛青をはじめとした武帝の周りに集まった人物たちのほうが、はるかに魅力的に読めました。
本書の主人公、霍去病もそんな一人。読めない人も多いのでは。日本語読みで「かくきょへい」と読みます。前漢の武帝の時代、何度も漢の領土に侵攻してきては、街を焼き略奪を繰り返していた匈奴の軍との戦いで、比類なき武功をたてて将軍の位につきながらも若くして夭折した人物。さぞやすごい人だったんだろうな。
ただ、本書での霍去病は、自分の力を鼻にかけた、傲岸不遜な男にしか読めません。「生意気な若武者」くらいだったなら、まだ許せたのに、どうも好きになれませんでした。霍去病よりも、やはり匈奴との戦いで武勲のあった叔父の衛青をはじめとした武帝の周りに集まった人物たちのほうが、はるかに魅力的に読めました。