人類の星の時間 (みすずライブラリー) の感想

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参照データ

タイトル人類の星の時間 (みすずライブラリー)
発売日販売日未定
製作者シュテファン ツヴァイク
販売元みすず書房
JANコード9784622050063
カテゴリジャンル別 » 文学・評論 » 文芸作品 » ドイツ文学

購入者の感想

 悠久の歴史の中で星々が一際明るく輝く瞬間がある。その一瞬を捉えた12の物語からなる短編集。部下の一瞬の判断ミスで天下分け目の戦いに敗れるナポレオン、84歳で家出する文豪トルストイ、ビザンチン帝国最後の瞬間、19歳の少女に恋する74歳のゲーテ、銃殺される寸前に助かるドストエフスキー、アムンゼンとの南極到達点争いに敗れるスコット大佐、サンフランシスコの所有権を主張した名もなき男、大西洋に初めて電線を敷設した、これも名もなき男、等々。誰もが知っている有名人から、それ誰?という人に至るまで、ツヴァイクの12の「歴史的ミニアチュール」が冴えまくる。訳も欣喜雀躍?、誠に独特である。いや、面白うございました。

「もしもあの時、違う行動を取っていたならば、今頃私の人生は変わっていたはず」という瞬間を、ある程度長く生きてきた人ならば誰でも持っているはず。この本は歴史に影響を与えた偉人たちの、そんな決定的瞬間=人類の星の時間を捉えたもの。同内容異タイトルのものに『歴史の決定的瞬間』があるが、読むのであれば、やはり風雅で素敵なタイトルのこちらをおすすめしたい。

この書は、過去の様々な12人の天才達が体験した、運命的瞬間を捉え、運命と歴史、人類の時間への影響について書かれている。
好きな箇所は、「ウォーターローの世界的瞬間」という章の一節である。
その章の冒頭に、「強い人々、大胆な人々に運命の力は特に強く迫る。シーザー、アレキサンダー、ナポレオンのような個人に、運命は何年間も下僕のように従順であった。なぜなら、運命はつかみがたい要素である運命自身に似ている要素的な力の人間を好むからである」とある。
また、最後に「そんな瞬間(人類の運命的瞬間)は、尻込みする者を軽蔑をもって押し返す。地上の別格の神ともいうべきそんな大きな運命的瞬間は、大胆な者だけを、炎の腕をつかんで英雄たちの天堂にまで引き上げる」とある。
運命を意志の力、自らの信念でもって作り上げていく不退転の姿勢が、運命をものにするのだと思った。

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