日本のたくみ (新潮文庫) の感想
参照データ
タイトル | 日本のたくみ (新潮文庫) |
発売日 | 販売日未定 |
製作者 | 白洲 正子 |
販売元 | 新潮社 |
JANコード | 9784101379012 |
カテゴリ | » 本 » ジャンル別 » 文学・評論 |
購入者の感想
工芸を構成する主たる要素だけではなく伝統文化を支える職人世界まで縦横無尽。砥石から城壁の石積み、さらに贋作、そして刺青と、まさに白州正子にしか書けない「たくみ」がぎっしり詰まっている。もちろん白州さんらしく論旨明瞭で簡潔。同時に、職人を訪ね、その時々の息を呑むさまや溜息などもヒシヒシと伝わってくる。楽しみながらも真剣そのものの姿勢で書き上げられたこれらの短文には、読む側も五感を総動員しながら白州さんの目線に合わせることで、彼女の遥か向こう側への連想にかろうじて同行できる。そこも楽しめる本だと思う。最後に「後記」をどうぞお楽しみに、と付け加えておきたい。表紙に使われた染物が何であるかを知ることが出来る上に、なぜそれを白州さんが掲げたか、その心もきっと伝わることだろう。