テナー・サックスのしらべ(CD2枚付き) の感想

アルトを10年以上吹いてきましたが、この度テナーを吹くことになり練習用として本書を購入しました。

ほとんどの曲がテーマ〜アドリブ〜テーマという4ビートジャズコンボの基本形で構成され、アドリブフレーズもちゃんと譜面に起こされています。岡氏と一流サイドメンによる模範演奏は素晴らしく、ソロのフレーズも実に味があります。初心者用のような触れ込みで販売されているものの、収録曲の難易度は様々。中にはかなりの熟達を必要とする曲もあり（アイ・ガット・リズムなど）、ベテランでも十分に楽しめる楽譜集となっています。センスの良い選曲と優れたソロで、自分で吹いていても楽しく、人に聴かせても喜んでもらえるはずです。曲中に無意味な全休符や他の楽器のソロなどが無いこともポイント。この手のカラオケ教材では、つまらない待ち時間となるので。

テナーサックス用の楽譜は数少なく、またその多くは他の管楽器の焼き直し（移調し直し）曲集だったりします。ジャズテナーのトッププレイヤーが一から作ってくれたこの楽譜集は、現在販売されている中でダントツのクオリティですね。ぜひ第2弾を期待したいところです。幸いにもサックス＆ブラス・マガジンの付録に岡淳氏による同様の模範演奏CDと楽譜が収録されている号があるので、この教材が気に入った方はそちらのバックナンバーを購入されることをお勧めします。