人造人間の怪 呪みちる初期傑作選I の感想

この呪みちるという人は、90年代の少女ホラーコミックブーム最末期に登場した、正統派恐怖漫画の有望な書き手でした。だがブームの衰退とともに活動の場を奪われていき、正当な評価を得られないまま現在に至ります。

ただ最近少しずつ、このような作品集が出版されるなど、再評価の兆しが出てきてるようですね。初期作品は高値がついて手が出せない状態が続いてたので、この復刻は非常に嬉しい。

もっともこの作品集は、昔出ていた本のそのままの復刻ではないですが。『青空の悪魔円盤』収録作からの抜粋6編をメインに、『押入れのウーリー』収録作2編と、初収録作2編を加えた構成となっています。

内容はどれも面白いですが、中でも表題作「人造人間の怪」と「押入れのウーリー」は、怪奇と幻想に彩られた傑作!!まさに、呪みちるの代表作と言える作品。

初収録作は「夢と違う」と「怪人赤マント」の2本。「怪人〜」は、都市伝説を元にした作品。『口裂け女あらわる!―昭和怪奇伝説』に入ってる系のものです。「狼よ目覚めよ」は、『押入れのウーリー』収録「獣歌道　レディース限定」と同じものです。再録にあたり、オリジナルのタイトルに戻されました。

本格ホラーマンガに飢えてるって人は、ぜひ一度この本を読んでみてほしいです。巻頭にカラー4ページ、巻末に著者による短い解説付き。なお、既に第2弾の発売も予定されてるそうで、どんな内容になるか気になります。