個人のたたかい―金子光晴の詩と真実 (詩人の評伝シリーズ) の感想

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参照データ

タイトル個人のたたかい―金子光晴の詩と真実 (詩人の評伝シリーズ)
発売日販売日未定
製作者茨木 のり子
販売元童話屋
JANコード9784887470088
カテゴリジャンル別 » 文学・評論 » 詩歌 » 詩論

購入者の感想

一貫して反骨の詩人であった金子光晴の生涯(1895−1975)。著者はそれを次の文章で見事にまとめている。「若いころはヨーロッパ・東南アジアをさまよい歩き、太平洋戦争中は、信念をつらぬきとおして反戦詩を書きつづけた詩人」(最初の扉の言葉)、「その半世紀にわたる長い詩業には、恋歌あり、抒情詩もあり、ざれ歌もあり、弱さをそのままさらけだした詩もあり、一読考えこまざるをえないエッセイ集もたくさんあり、じつに大きなスケールと、振幅をもっていますが、とりわけその詩の、もっとも鋭い切先は、権力とわたりあい、個人の自立性は、たとえ権力によってだって奪われないといった、まことに『無冠の帝王』にふさわしい、人間の誇りをかがやかせたのでした」と(p.151)。

この本ではとくに金子が、戦争中、「節をまげ、体制に迎合し、戦争を賛美した文人、作家が大多数」だったときに、反戦の姿勢をまげず、官憲に屈しなかったこと、「法燈をつぐ」気持ちで詩を書き続けたこと(p.103)、息子の乾を徴兵からまもったこと、が特筆されている。そういう人は、金子の他には、秋山清、永井荷風、宮本百合子、久保栄などごく少数であった(p.134)。金子光晴の生きかたも素晴らしいが、著者の抑えた筆致でありながら、真実を伝えようとする姿勢も金子につながる思想があるような気がした。

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