片山杜秀の本(5)線量計と機関銃──ラジオ・カタヤマ【震災篇】 の感想

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タイトル片山杜秀の本(5)線量計と機関銃──ラジオ・カタヤマ【震災篇】
発売日販売日未定
製作者片山杜秀
販売元アルテスパブリッシング
JANコード9784903951584
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各篇のタイトルが秀逸。互いに関係の見えない「二題噺」と思いきや、さっと「補助線」が引かれ、その意味が立ち上ってくる知的瞬間がこたえられなかった一書。特に、「割れ煎とナチス」(「割れ煎」とは、ハンナ・アーレントのいう「計画的な無秩序」(59頁)の謂い)そして「3・11と12・8」(3・11に比肩するのは、8・15ではなく国家的情報操作の始原となった12・8であるという見解)という名付けは秀逸の一語。

「しかもいまの日本の場合は、計画的にではなく、無計画に無秩序をつくりだしているのではないか」(60頁)。
「これはやっぱりぜんぶいろんな権限、法律、組織というものが相殺されて機能しなくなった割れ煎状態のなかでのフィーリングの暴走という状態に、日本がなりかけているんじゃないかという危惧があります。全体主義にいつも興味をもっている私のような人間には、そうみえてしまうんです」(61頁)。
「正直いって、私はこの春から、もういまの日本がまともな国だとは思わないようにしています」(116頁)。
「「共産主義は電化だ」というレーニンの名せりふもあります」(117頁、その挙句のFUKUSHIMA)。
「ところが、日本は小選挙区と比例代表の並立制だから、どっちに比重があるかわかりづらいんです。選挙によって政策を選択してるのか、政治家の政治的能力に信任を与えているのか、どっちの選挙をしているのかが玉虫色になる」(201頁)。

それにしても、美濃部達吉の「任期1年の全国比例代表制」(202〜6頁)という選挙制度案の先見性には驚いた。同様のテーマが更に肉付けされて叙述される著者の『国の死に方』との併読をお勧めします。

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