すごい畑のすごい土 無農薬・無肥料・自然栽培の生態学 (幻冬舎新書) の感想

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タイトルすごい畑のすごい土 無農薬・無肥料・自然栽培の生態学 (幻冬舎新書)
発売日販売日未定
製作者杉山 修一
販売元幻冬舎
JANコード9784344983069
カテゴリジャンル別 » 科学・テクノロジー » 農学 » 作物栽培

購入者の感想

農閑期に農家仲間で、見学勉強会へ出かけたような感じ。これがすぐに役立つわけではないが、有機栽培や自然栽培に興味がありつつも慣行栽培で利益を確保しないと生活が成り立たないと感じている農家は特に、日々の農作業のなかで「ああ、そういうことか」と気づくヒントがふんだんにかかれている。慣行栽培にせよ、自然栽培にせよ、農家は生活をかけて必死なのでいきおい視野が狭くなりがちだが、一歩引いて農業を俯瞰してくれていて冷静になれる。平坦地が少なく資源もない日本では、グローバル化の方向で農業をすすめるのは限界がある、のは著者ならずともこれまで再三指摘されてきたことだが、ならばどうする?という切迫した問いに自然栽培の可能性を答えにしている。これも決してこの著者がはじめてというわけではないと思うが、米麦大豆トウモロコシなど「食糧」ではない果物などの「嗜好品」については、あながち捨てた考えでもないとおもわせる。果樹園の微生物について書かれた本は意外と無いので、次は横書きの専門書でお願いします。

小さな畑を耕すものとして、
奇跡のりんごを生んだ土が作れるかと
思って読んだが、ここにはその処方箋は
書かれていない。

自然栽培について、論理的な展開が示されているのか、
素人の私には理解できなかった。

自然栽培の世界は、思い込みや妄想の上に打ち立てられた、
いわゆる「トンデモ科学」のような扱いをうけがちですが、
実はもっと現実的で、これからの社会に有効な可能性に満ちた分野であることを、
著者は生態学の切り口から示しています。
農学と植物生態学の2つを修めた著者だからこそ、書けたのではないでしょうか。

鳥瞰の眼と虫瞰の眼、双方の視点を併せ持ちながら、
観念に寄りすぎず、且つ素人にもわかるように執筆なさるのは、
さぞ骨が折れたことと思います。

141ページ以降に記されている、分子生物学を確立したジェームス・ワトソンと
社会生物学の巨人エドワード・ウィルソンとの対立のくだりに、
自然栽培が「トンデモ科学」として映ってしまうカラクリが見えてきます。

現在の農業は長い間、分子生物学に基づいて構築されてきたため、
作物そのものにだけでなく、その圃場全体の生態系にも拠っている
自然栽培のメカニズムを語るには、
細胞レベルの生命現象を扱う分子生物学だけでは限界があるようです。
今後は、この2つの分野が対立ではなく、互いの立場を超えて
得意分野を提供し合い、協働してくれることを願ってやみません。

ここに書かれてあることが本当に広く実現するのなら、
農業のことだけではなく、環境、エネルギー、食糧、健康、教育、経済…
すべての問題が同時に解決方向へと、舵を切り替え始めることでしょう。

本書でも書かれてありますが、自然栽培はトップダウン型ではなく
ボトムアップ型の手法なので、時間がかかりますが、
ひとたび起動し始めると、すべての歯車がかみ合い、
あっという間に行き渡ると思います。

素晴らしいのは、教育や経済などの人為にも波及していく点。
人間が、自然の生態系に属している存在であることを意味しています。
これは真のイノベーションだと思います。
この本はまだ序章であり、今後の研究の拡充と本の続編が待たれます。0

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