小林秀雄の後の二十一章 の感想
参照データ
タイトル | 小林秀雄の後の二十一章 |
発売日 | 販売日未定 |
製作者 | 小川 榮太郎 |
販売元 | 幻冬舎 |
JANコード | 9784344028067 |
カテゴリ | ジャンル別 » 文学・評論 » 評論・文学研究 » 論文集・講演集・対談集 |
購入者の感想
小林秀雄、福田恆存という名前を見れば、大抵の本を買うようにしてきたが、書店でこの本を見た時は度肝を抜かれた。実に贅沢な製本であり、装丁だ。帯を見てもっと驚いた。編集者の見城さんという人が、この本の著者を「小林秀雄の無二の後継者」とまで絶賛している。半信半疑で読みだしたが、読んでゆくにつれ、驚きは倍化した。確かに文章が凄い。内容や主張に疑問を覚える時でも、文章の次から次に挑みかかる力や美しさには唸らされた。後半の長編よりも、前半の短編の出来栄えに圧倒されたが、特に、「靖国神社で歌つた君が代」と「司馬遷の『史記』」や「ルソーの『告白』」に感銘した。靖国論かと思いきや、要するに国民国家論と日本の国柄を絡めた議論で、ちょっと類がない。史記論は、列伝の魅力を簡潔に書いて現代の中国に話が及ぶ佳品。
あと、どうしても触れておきたいのは本書最後に収められている小林秀雄×福田恆存×三島由紀夫の鼎談。これは著者小川による創作。三島がシェイクスピアを論じていたり、福田と三島が川端評価を巡って対立するなど、実際にはあり得ない話題で生前の彼らそのままの科白で対談している。小林秀雄の登場がもう少し多ければという不満はあるが、捧腹絶倒の愉しい読み物だった。
全体としては、新しい知の地平を開くという性質の本ではなく、古典と対話しながら、日本語の美の新しい可能性を開くという性質の本だと言うべきだろうか。
あと、どうしても触れておきたいのは本書最後に収められている小林秀雄×福田恆存×三島由紀夫の鼎談。これは著者小川による創作。三島がシェイクスピアを論じていたり、福田と三島が川端評価を巡って対立するなど、実際にはあり得ない話題で生前の彼らそのままの科白で対談している。小林秀雄の登場がもう少し多ければという不満はあるが、捧腹絶倒の愉しい読み物だった。
全体としては、新しい知の地平を開くという性質の本ではなく、古典と対話しながら、日本語の美の新しい可能性を開くという性質の本だと言うべきだろうか。