日本文学100年の名作第4巻1944-1953 木の都 (新潮文庫) の感想

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参照データ

タイトル日本文学100年の名作第4巻1944-1953 木の都 (新潮文庫)
発売日2014-11-28
販売元新潮社
JANコード9784101274355
カテゴリジャンル別 » 文学・評論 » 文芸作品 » 日本文学

購入者の感想

織田作之助にこんな小説があったとは。見慣れた本屋の棚にふと見つけたお宝本のような短編に出会えました。

「日本文学百年の名作」第4巻。このシリーズは、十年ごとに時代を区切って1冊ずつ刊行するようですが、十年という区切りにあまりとらわれずとも、1作1作を楽しむことができます。

今回の収穫は、まずはこのオダサクの「木の都」。思い出の地で作者がふと出会ったレコード屋の主人と2人の子ども。徴用にとられた下の息子は、わが家が恋しくて何度も工場を抜けだし帰ってきてしまいます。困った父親と姉がとった行動とは…。

無頼派のイメージで、浪華の老若男女のハチャメチャな生態を描いた作品が多いのですが、この短編は、そんなオダサクの印象を良い意味で裏切ってくれました。胸に温かく迫る一品です。

また、永井荷風の「羊羹」は戦後の作品。焼け野原の東京でうまく立ち回り、金回りの良くなったもと使用人。半ばそれを自慢するために、かつての主人一家に会いに行くのですが、その再会の場面は、人の世の不可思議な有りようを考えさせます。

戦後の荷風の小説は一般的に評価が低いのですが、これからはどんどん刊行されることを期待します。

他には、兵役に就いた息子に会いに行く母の不思議な邂逅を描いた「沼のほとり」(豊島与志雄)、塩の生産にとりつかれた村民の悲喜劇である「塩百姓」(獅子文六)、帝国軍人と南の島の巫女との、童話のように美しい恋物語を描く「島の果て」(島尾敏雄)などが楽しめました。

有名な、井伏鱒二の「遙拝隊長」と小山清の「落穂拾い」、松本清張の「くるま宿」も掲載。

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