縮みゆく男 (扶桑社BOOKSミステリー) の感想

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参照データ

タイトル縮みゆく男 (扶桑社BOOKSミステリー)
発売日2013-12-14
製作者リチャード・マシスン
販売元扶桑社
JANコード登録されていません
カテゴリジャンル別 » 文学・評論 » 文芸作品 » 英米文学

購入者の感想

原題 The Incredible Shrinking Man 1956年発表

余りに有名な作品である故に今まで未読だった迂闊さを恥じるばかり。
解説で町山智浩氏が述べられているように若い頃に漫然と読んだなら、ただ作者の奇想に驚き、縮小した主人公が蜘蛛と闘うシーンなど様々な恐怖や困難の連続に手に汗握るファンタジーの傑作という感想しか抱かなかっただろう。

ここでは身体の縮小現象は老いや衰えの暗喩であり、繰り返される日常への不安感を具現している。
社会や家庭から徐々に疎外され行き場を失う主人公の姿に、これほど身につまされ心揺さぶられることになるとは全く考えもしなかった。
そして結末における主人公の決意には大袈裟でなく奮えるような感動を覚える…。

ただし、こんな中年男の感慨とは無縁にキングや藤子不二雄にも多大な影響を与えたアイデアの帝王リチャード・マシスンらしいセンス・オブ・ワンダーに満ちたSF/ホラーの傑作として単純に楽しめる事は保証出来る。
昆虫のようなサイズになった主人公の視点から見たディテイルの筆力、沸き出るような想像力がひたすら圧倒的。

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