よくわかる臨床発達心理学 (やわらかアカデミズム・わかるシリーズ) の感想

　初学の場合、専門用語や語句を覚えるのに汲々となりがちです。本書は、それらを原理的に考えさせます。表題「育ちにくさと生きづらさ」、「希望はどこに宿るのか」、「学校という場の意味」、「〜生きることの意味、そしてそれが問いかけるもの」等は如実にそのことを示しています。障害や発達を考える時、「生きることの意味」、「それが問いかけるもの」は、非常に重要と言えます。副次的なことですが、巻末の著者写真掲載は、“からだを張った”執筆を示しているように思われます。写真は読者と著者の心理的な距離を大いに縮めてくれます。
　発達臨床にかかわる人々」を、本書ほど丁寧に紙幅を割いて書いているのも珍しいです。