老いのかたち (中公新書) の感想

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参照データ

タイトル老いのかたち (中公新書)
発売日販売日未定
製作者黒井 千次
販売元中央公論新社
JANコード9784121020536
カテゴリ文学・評論 » エッセー・随筆 » 著者別 » か行の著者

購入者の感想

 先ず、50歳以下の所謂若い人たちに薦める本とは思わない。還暦間際の私には、成程と思う事、老いるとは滑稽であったり、心理的に肉体的にこれからこの種の経験をするのだと、事前に聞く意味があった。

 全体に、軽いタッチの本で、深刻な内容ではない。人生論などとは程遠いものである。あとがきにあるように、この著書は、読売新聞夕刊に月一回寄稿された随想の56回分をまとめたものである。個々の随想が独立しており、それぞれに完結している。愉快に読むのだが、後に残るものが少ないようにも思う。

 試しに、随想のいくつかのタイトルを掲げるが、それを見るだけで或る程度、内容が推測できる。「廃車宣告された気分」、「崩れゆく老いの形」、「初々しい初老男性の時代」、「友を送る−これも同窓会」、「扉にぶつかり、窘められて」、「衰えを受け入れる気品」、「歳を取れなくなった時代」、「一つ拾い、一つこぼす」、「よろめきと戯れる」、「時の過ち、場所の間違い」、「老いを受け入れる気力」、「ヒガミとアキラメ」、「年寄りゆえの忙しさ」。

「小説家が新書?」と思いながら読み始め、「やっぱりエッセイじゃないか、文庫にしろよ」と思いながら読み進み、「老境とはこういうものなのだ」と新書でよいと納得した次第です。
実は認知症の進行中の父親から「盗んだものを出せ」と言われてから落ち込み、その種の本を読み直したりしていた中での本書との出会いです。著者のように謙虚な逡巡は父親には期待できませんが、少しずつ私自身がショックから立ち直りつつあるのも本書のおかげかもしれません。
50才以下の方にはお勧めできませんが、老いるということと、気持ちの持ち方のギャップを考察し教えてくれる本です。

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中央公論新社から発売された黒井 千次の老いのかたち (中公新書)(JAN:9784121020536)の感想と評価
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