我が足を信じて 極寒のシベリアを脱出、故国に生還した男の物語 の感想

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タイトル我が足を信じて 極寒のシベリアを脱出、故国に生還した男の物語
発売日販売日未定
製作者著者:ヨーゼフ・マルティン・バウアー 訳者:平野 純一
販売元文芸社
JANコード9784286112671
カテゴリジャンル別 » 文学・評論 » 文芸作品 » ドイツ文学

購入者の感想

途中、様々な人々の助けを受けて故国へ。ドラマだなあ。寝る前に読む本としてお勧めです。

旧ソ連によって戦時捕虜となったドイツ国防軍
クレメンス・ファレル中尉の逃避行。

数年前、この作品に基づく映画を観て感銘を受けました。
今回原作を読んでみて、随分と内容が異なる点が多いことに驚かされました。

著者はこのファレル元中尉に、
ミュンヘンに帰還して2年後の1955年頃会っております。
膨大な体験談を録音テープに記録し、出来るだけ忠実に文章化したのがこの作品です。

作品の前半4分の1程が、ユーラシア大陸の東端、
デジョニフ岬にあった極寒の強制収容所での劣悪な体験、
そして本作品の半分は、シベリアからモンゴル国境付近の辺境の街に到達する逃避行、
最後の4分の1は中央アジアを経てイランに脱出する過程が描かれています。

圧巻は、やはりシベリアの荒野、森林を2年がかりで大半を徒歩で逃げ延びる過程でしょう。

興味深いのは、彼一人の力は極めて有限であり、古くからこの地で遊牧して過ごしてきた
ヤクート人ら数家族の庇護こそが生存の鍵となったことでした。
それは食料、衣類、スキー、などの物資だけではなく、
逃げ延びるための知恵、コツを教わったことでした。
それは皮肉にも、官吏から質された時には嘘をつかずに正直に俘虜であることを明かすこと、
シベリア中に流浪している俘虜、囚人が満ち満ちており、その官吏自身も流刑者なのです、
この後のファレル中尉の命を何度も救うことになりました。

また不幸な結果に終わるのですが、砂金を掘るロシア人の強制労働からの脱走者らと長期間の
きわどい旅を続けたことも結果的には彼を利することになりました。

日本人には見当もつかない広漠で荒涼、酷寒の風土、
ソ連という途方もない不条理な人権抑圧国家、
その一端を知るためにも貴重な書でありましょう。
更にそれに耐えながら人間としての尊厳、矜持を守りつつ、
栄養失調の痩せこけ、落ち窪んだ目で冷静に観察した視線こそが、
真に読者の胸を打つものだと思います。

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文芸社から発売された著者:ヨーゼフ・マルティン・バウアー 訳者:平野 純一の我が足を信じて 極寒のシベリアを脱出、故国に生還した男の物語(JAN:9784286112671)の感想と評価
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