ぼくらの近代建築デラックス! の感想

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参照データ

タイトルぼくらの近代建築デラックス!
発売日販売日未定
製作者万城目 学
販売元文藝春秋
JANコード9784163757902
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購入者の感想

万城目学と門井慶喜の対談集というだけで、二人を好きな者には、それだけで十分一読の価値あり。そして、その期待に違うことなく、冒頭から実に深い蘊蓄・造詣がアクロバティックに飛び交い、二人のファンなら新作同様に心が満たされるだろう。

しかし、本書で本当に圧倒されるのは、二人が正しく深く近代建築を愛し、かつ、勉強していること。本書でも言及ある藤森師匠の建築探偵以来の近代建築ヘタの横好きの私は、数だけは多くのガイド本を読んできたが、かたや学者のマニアックぶりが鼻につくだけの高い本、かたやwiki丸写しレベルの低レベル観光本と、結局は20年も前の藤森本を頼りにする始末。それが、いきなり、二人の平明にして奥がありすぎなトークにビックリさせられた。
おそらく、作家同士の建築ガイドは初めてだろう。二人の目線は、建築マニアのそれと同時に、職業作家として人物を捉えている。個々の建造物という縦糸を、二人が建築家という横糸で編むうちに、実に見事な人間模様が仕上がっていく。特に、渡辺節という1人の建築家が本書で起承転結を以て繰り広げるストーリーは実に見事。そして、近代日本で試行錯誤右往左往しながらも西洋建築を広げ高め、現代の建築家までつらなるコンドルの末裔たちの関係も実に面白い。つまり、ある種の群像劇を覗き込んだような読後感ということ。

しかしやはり、そうしたところまで思いが回らずとも、とりあえず本書を片手にルート通りに街を歩くだけでも十分楽しい。本書紹介の建物の過半は訪ねた私でも、再び訪れたくなる見事なガイドぶりは、あまつさえ、巻末で先達の名著を一式紹介するサービスぶり。

見仏のいとう・みうらを超える紀行文を書く現代作家コンビはいないと思っていたが、強力なライバル出現だなぁ・・・しかも、こちらの二人は本業が作家だからなぁ(笑)

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文藝春秋から発売された万城目 学のぼくらの近代建築デラックス!(JAN:9784163757902)の感想と評価
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