思想としての近代経済学 (岩波新書) の感想
参照データ
タイトル | 思想としての近代経済学 (岩波新書) |
発売日 | 販売日未定 |
製作者 | 森嶋 通夫 |
販売元 | 岩波書店 |
JANコード | 9784004303213 |
カテゴリ | ジャンル別 » ビジネス・経済 » 経済学・経済事情 » 経済学 |
購入者の感想
日本人初のノーベル経済学賞を目前に、惜しくも亡くなられた森嶋先生の、新書サイズでの入門書。ただし、内容は決して落としてはいない。相当高度な内容も含まれている。本書の内容をさらにかみ砕いて講釈したのが小室直樹の一連の経済学関連書籍群といっていい。
まず二番目に登場するリカードの記述がちょっと難解だ。しかしここを過ぎればぐっと易しくなるので、途中で投げ出さずに読了して頂きたい。ケインズの業績が、マルクスですら暗黙の前提にしていたセイの法則の否定であったことが本書の中心的な論点であろう。
さらに、教訓とすべきは、マルクスの労働価値説を循環論法として切って捨てたベーム=パヴェルク以来、マルクス主義者たちはこれを反駁できなかったのだが、むしろ森嶋氏のような近代経済学者たちの方がより深いマルクス理解をしていた、ということだ。やはり重要なことはイデオロギーを信奉することではなく、きちんとした学問的研究に優れるということなのである。
まず二番目に登場するリカードの記述がちょっと難解だ。しかしここを過ぎればぐっと易しくなるので、途中で投げ出さずに読了して頂きたい。ケインズの業績が、マルクスですら暗黙の前提にしていたセイの法則の否定であったことが本書の中心的な論点であろう。
さらに、教訓とすべきは、マルクスの労働価値説を循環論法として切って捨てたベーム=パヴェルク以来、マルクス主義者たちはこれを反駁できなかったのだが、むしろ森嶋氏のような近代経済学者たちの方がより深いマルクス理解をしていた、ということだ。やはり重要なことはイデオロギーを信奉することではなく、きちんとした学問的研究に優れるということなのである。