科学の現在を問う (講談社現代新書) の感想

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タイトル科学の現在を問う (講談社現代新書)
発売日販売日未定
製作者村上 陽一郎
販売元講談社
JANコード9784061495005
カテゴリ » ジャンル別 » 文学・評論 » 評論・文学研究

購入者の感想

ほんの100年前まで「科学」は
「社会にとって何の役にも立たないもの」であって、
物好きな金持ちがスポンサーになっていた。
社会の役に立つ「技術」とはまってく別のものであったということを、
工学部出身であるのに本書で初めて知った次第である。
確かにエジソンは大学の工学部を出たわけではない。

本書にもあるように、日本の「理系」は他の国に比べ
工学部が理学部に対し偏重されており、それは
明治以来の殖産興業政策によるものである。
このため日本では「科学」が最初から存在しなかった。
大学の工学部における違和感はそれが原因であろう。

しかし外国に追いつけ追い越せの80年代までと異なり、
現在の日本ではそれほど多くの工学部出身者(いわゆる理系)は
必要とされていない。このため工学部出身者の多くが
営業などに回される人事が日常化している。
日本の理系教育は脱工業化社会にまるで対応できていないといえる。

「理系離れ」対策というのは、単に理科への興味を
起させればいいわけではなく、「何の役にも立たない」理学を専攻することを、
社会として容認しなければならない、ということを本書は教えてくれる。
同時に日本では永久に無理だろう、という絶望もあるのだが。

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