世論〈上〉 (岩波文庫) の感想

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参照データ

タイトル世論〈上〉 (岩波文庫)
発売日販売日未定
製作者W.リップマン
販売元岩波書店
JANコード9784003422212
カテゴリジャンル別 » 社会・政治 » 社会学 » 社会学概論

購入者の感想

 私は現在、アメリカの大学院で政治学を勉強しております。
 リップマンの『世論』は古典的名著のようで、こちらの大学の政治学専攻では知らない人はいないようです。
 私はこの本の原書が授業のテキストになったので、購入して読んでみましたが、リップマンの書く英文は一文が長く、また言い回しも古いのか、なかなか理解できませでした。一応通読しましたが、理解度は20%くらいだったでしょうか。ちなみに、彼の英文はアメリカ人にとっても難しいらしく、みんな頭を抱えていました。
 ところが、本翻訳書は本当に分かりやすい名訳でした。リップマン独特の長い文も、読者が咀嚼できるように、適宜、短く切って、いくつかの短文に分けて訳してくれているので、すいすい頭に入ってきます。これは、おそらく原文を読んでいるアメリカ人読者よりも、日本語の訳文を読んでいる日本人読者の方がはるかによく理解しているのではないかと思います。
 私もおかげさまで、無事単位が取れました。この本の訳者にはお礼の言葉がありません。
 ただし、巻末の訳者による解説に、他の岩波文庫の本と違って、内容の要約が出ていないのは、ちょっと残念でした。概して古典の場合は内容が難しいし、言い方もまわりくどいので、要約があれば、事前に読んで全体のイメージがつかめて重宝します。また、大学の授業などで岩波文庫をテキストにしている場合なども、要約があれば、テストの準備に役立ちますものね。(次の改訂版では、ぜひ要約をつけていただきたいです。)

民主主義社会において決定的に重要な位置を占める「世論」についての著作です。基本的に政治学に関わる著作なのですが、その洞察力に富んだ分析は、社会の中で人間がどのように現状を認識し意見を持つか、について重要で明快な示唆を与えてくれます。(特に上巻に収録された第一章「外界と頭の中で描く世界」および第三部「ステレオタイプ」)

私がこの本に出会ったのはもう20年も前になりますが、今回原著とともにもう一度読み返してみました。丁寧な翻訳もよいのですが丁寧な分どうしても冗長になっています。原著はもちろん英語であり若干難しい単語もありますが、文章は(学者の書く文章とは違い)明瞭で美しいです。(原著は以下にあります:[]~Hyper/Lippman/contents.html)

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