サブカル・スーパースター鬱伝 (徳間文庫カレッジ) の感想

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参照データ

タイトルサブカル・スーパースター鬱伝 (徳間文庫カレッジ)
発売日2014-11-07
製作者吉田 豪
販売元徳間書店
JANコード9784199070181
カテゴリジャンル別 » 社会・政治 » 社会学 » 社会学概論

購入者の感想

いるわいるわ。こんなにいたのか。不明を恥じました。ってか、登場する方々も
「鬱は成人病のひとつ」「皮むけたくらいの感じ、通過するもの」
という言い方をされてますが、本当にその程度のものに思えて、ときどきその気のある自分もスッと軽くなっちゃいました。
有名人のカミングアウト本は多いですが、多人数を一堂に集めたところも本書の値打ちでしょう。

サブカル門外漢の私は、登場する方々をほとんど知らないのですが(申し訳ない)、まったく苦にならず非常に興味深く読めました。
特筆すべきは脚注の親切さで、単に読みやすいだけでなく、私のような一見客もないがしろにしない配慮が感じられ、疎外感がない。
単行本では、その脚注が本文と同じページのすぐ下に書かれ、読む流れがまったく止まらず、本当に読みやすい。
また、原田久仁信画伯描く顔イラストが芸術性高く、たった一枚ずつで人物像まで目に浮かぶすぐれもの、これも自分的に価値ありでした。
ひっくるめて、デザイン性の非常に優れた、グッドデザイン賞ものの一冊だと思います。

ちなみに文庫本のほうは以下が違いました。
・文庫本のみ収録のユースケ・サンタマリア氏が読めてお得
・ただし脚注が本文下でなく各章末一括
・読みやすさでは単行本が秀逸(文字と余白の配分もよい。むろん感覚差あり)
・原田画伯のイラストが表紙だけで、中の対談相手の分無し

あと、ご本人たち自ら笑い飛ばせてる箇所もありますけど、基本、鬱の話ですので、もともと笑うための本ではないと思います。

吉田豪『サブカル・スーパースター鬱伝』はリリー・フランキーや大槻ケンジらサブカル界の著名人との対談集である。一見すると華やかに見える彼らも鬱病を体験している。著者は「サブカル文系男子は四十歳を越えると鬱になる」という仮説を立てている。

鬱病など心の病気は現代日本社会で大きく問題視されている。それでも、まだまだ後進的な日本社会では「個人の頑張りで乗りきれ」的な精神論が根強い。それは鬱病患者を一層苦しめることになる。これに対して本書は鬱病を「四十代の通過儀礼」という形で普通に起こることと受け止めている。このような考え方で救われる人々は大勢存在するだろう。

鬱病からの脱却体験談も健康的である。『新世紀エヴァンゲリオン』『機動戦士ガンダムSEED』などのアニメやアイドル(モーニング娘。)、食玩にはまることで改善したという体験談が紹介される。鬱病になるとエンターテイメントを楽しむ余裕もなくなることが多いが、現実逃避でもいいのでエンターテイメントの世界に浸かることが有効である。

他にも運動、日光を浴びる、猫の世話、痩せるなど真っ当な内容が登場する。 もちろん、精神科医の診療も受けているが、抗鬱剤などの薬漬けには消極的評価を下している。「薬を飲むのがよくない」「抗鬱剤とか睡眠薬とか飲んでいると余計体調悪い」との感想が寄せられている(137頁)。さらには「鬱病患者の増大は(製薬会社の)企業戦略が絡んでいるかも」との大胆な推測もなされた(61頁)。抗鬱剤の副作用でブクブク太ってしまったという告白を目にしたことがあるため、納得できる内容である。

鬱病になることは決して悪いことではない。本書では四十代を念頭に置いているが、若年層の心の病も多い。それだけ現代日本社会で生きることは不安や葛藤が大きいことを示している。問題は安直な方法で不安や葛藤から逃れる傾向が一部に見られることである。ハーブなどの脱法ドラッグで一時的にハイになるなどである。脱法ドラッグによる死亡や後遺症など深刻な健康被害が続発している。

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