日本の歴史 (7) 鎌倉幕府 (中公文庫) の感想
参照データ
タイトル | 日本の歴史 (7) 鎌倉幕府 (中公文庫) |
発売日 | 販売日未定 |
製作者 | 石井 進 |
販売元 | 中央公論新社 |
JANコード | 9784122044555 |
カテゴリ | 本 » ジャンル別 » 文学・評論 » 全集・選書 |
購入者の感想
平氏の滅亡から承久の乱を経て、北条時頼の得宗専制体制までの歴史を収めた第7巻、非常に有名な表紙の源頼朝の肖像画は現在では足利尊氏の弟の足利直義ではないかという説が注目を集めるようになっている(頼朝の頭が異様に大きい本書に掲載された頼朝の木像のイメージと比べるとこの絵は格好が良すぎるので怪しい)。本作を読むと一見頼朝を中心に万全なな体制でスタートしたと思われる鎌倉幕府の体制は実はかなり脆い点が多く、御家人の様々な思惑が一触即発の状態にあったことが本書で知ることができる。この時代の歴史史料である「吾妻鏡」が北条氏に都合のいいようにまとめられており、頼朝の不審な死、頼朝の子供の実朝の死についても、私たちが信じている真実とは全く異なっている可能性があることを知ることができる。千葉氏、梶原氏、和田氏、畠山氏といったライバルを巧妙に蹴落としていく北条政子(名前がはまりすぎている)と北条義時のやり方は現代の政治にも共通する世界だと思う。この時代は魅力のある登場人物が多く登場するので非常に読みやすいので、これから本シリーズを読破したいと考えている方は第1巻ではなく、本書から読み始めることをお勧めする。