定常型社会―新しい「豊かさ」の構想 (岩波新書) の感想

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タイトル定常型社会―新しい「豊かさ」の構想 (岩波新書)
発売日販売日未定
製作者広井 良典
販売元岩波書店
JANコード9784004307334
カテゴリジャンル別 » 社会・政治 » 社会学 » 社会一般

購入者の感想

このような、これまでの経済成長至上主義に代わる、成長を目的としない持続可能な福
祉を実現する社会という考え方は、一体どのくらいの人が受け入れているものなのか、
大手メディアを見ている限りいまひとつわかりません。そのような社会が望ましいとい
う声は確かにありますが、結局はその財源を確保するためには経済を成長させて、全体
のパイを大きくするしかないというのがメディアや識者の主流の意見であり、基本的に
それに従ってきたのがこれまでの自民党政権であったように思われます。その自民党は、
官僚や大企業などの既得権益者とのしがらみから抜け出せず、政権を追われることとな
りましたが、代わって登場した民主党政権に対しても、メディアや識者といわれる人た
ちは、やはり同様に経済拡大路線の踏襲を要求しているようです。

本書では、ヨーロッパにおける、大きい政府か小さい政府か、経済成長か環境保護かと
いった対立軸による社会政策の議論を示し、社会福祉を前提としてきたヨーロッパの政
策のあり方と、その対立が縮小してきている状況を説明しています。対する日本は、全
てにおいて経済成長のみが第一であり、社会福祉はその一つの付属品に過ぎなかった実
情から、福祉を含めて本格的な富の分配の議論をしてこなかった現実を指摘しています。
現在の少子高齢化の進む日本社会で、これまでの高度成長型の政治システムを脱し、低
成長の社会でどのような社会を目指し政策を行うべきかを考えるのが本書の狙いです。

著者はまず、現在の日本の社会保障の状況を振り返り、先進国中最も低い社会保障給付
費であり、その内容は年金に偏り、子どもや失業者への給付が極端に低く、また財源は
税と保険が渾然となった複雑なシステムであるといった特徴を示します。その背景には
日本社会の「カイシャ」主義と「子育ては母親がすべき」という伝統的家族思想があり、
それに対して、「雇用の流動化」と「子育ての社会化」といった方向が示されます。ま
た、社会保障給付を年金偏重型から医療、福祉拡充型へと移行し、老人だけに集中させ

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