なぜ八幡神社が日本でいちばん多いのか 最強11神社―八幡・天神・稲荷・伊勢・出雲・春日・熊野・祗園・諏訪・白山・住吉の信仰系統 (幻冬舎新書) の感想

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参照データ

タイトルなぜ八幡神社が日本でいちばん多いのか 最強11神社―八幡・天神・稲荷・伊勢・出雲・春日・熊野・祗園・諏訪・白山・住吉の信仰系統 (幻冬舎新書)
発売日販売日未定
製作者島田 裕巳
販売元幻冬舎
JANコード9784344983274
カテゴリジャンル別 » 人文・思想 » 宗教 » イスラム教

購入者の感想

おもしろく読んだ。
そもそも宗教についての啓蒙書なんて、毀誉褒貶はあって当然。
すべての文言について感銘を受けるなんてはずはない。これで充分。

同著者の同新書における前著『浄土真宗はなぜ日本でいちばん多いのか』
の姉妹編のようでいて、本書のほうがはるかに面白く、考えさせられる。

前著は、ややタイトル倒れの気味があった(仏教はどうしても
体系なり前提なりの概説や、宗祖の個人史に言及せざるを得ないから)。

だが、本書の看板に偽りはない。
もちろん、副題どおり、もろもろの神神について扱っているが、
やはりなんと言っても本書の勘どころは、八幡神。
法人格としての神社のうち「八幡」系が全国でもっとも多い理由が、
神仏習合の結果であると(神道、仏教いずれの立場からでなく)、明言したこと。

「そんなことは、専門家はみんな知っている」あるいは
「気の利いた歴史好きなら先刻承知」…というのは簡単。

だが、あらためて想像してみてください。
神仏習合という四字熟語としてでなく、イメージとして。
神仏分離(明治初年)以前は、長い長い慣習によって、
剃髪した僧侶が八幡神を守っていた…という異様な場面を。

だが、その“異様さ”こそ、1000年以上続いた、日本の伝統
(「僧形八幡像」や「八幡大菩薩」の称号の意味をかみしめましょう)。
神と仏のダブルスタンダード。だからこそ、広く、深く浸透した。

一方、神道の聖典とされる記紀。そこに、八幡神はかけらも見えない。
それでも、八幡はありがたい神さま。これもまた、日本の伝統。

「古事記」がどんなに意義深く、価値が高く、神社関係者が尊んでも、
日本全国にもっとも広まったのは、その“意義”や“価値”とは
無縁(おっとこれは仏教語ですか)の、八幡さま。
それを、多くの日本人はありがたがってきた。皮肉ではない。

この現実、というかこの様式を見据えて、日本の宗教とか信仰を

日本の神社で祀られている神様には、古事記と日本書紀に載っている神話に根ざすもの、記紀には登場せず歴史が進行する中で登場したもの、人を神として祀ったものの3種類あるそうだ。本書は、その中で数の多い代表的な系列の神社の由来について解説した本である。

今ではわかりにくくなっているが、実は明治の廃仏毀釈以前は神仏習合が当たり前だった。このような、それぞれの神社と関係の強い仏教各宗派が与えた影響についても各所で述べられている。

1.八幡神社:神社の数が最も多い。記紀には登場しない。出自は渡来系である可能性が高い。第15代の応神天皇と習合したことで天照大神に次ぐ皇祖神となって権威が増す。さらに、源氏が保護したことで武家に広まり、仏教の菩薩としての役割も担うようになってポピュラーになった。
2.天神:菅原道真の祟りを恐れて作られたが、次第に学問の神となる。
3.稲荷:元々は「伊奈利」。記紀には登場しない。稲の神として秦氏が祀った。真言宗とのかかわりが生まれて広まる。
4.伊勢:天照大神が祭神。20年おきに遷宮が行われるが、応仁の乱の時代では120年以上途絶えた時期があった。
5.出雲:御神体が何なのか明らかにされていない。高層の本殿を持っていたが、平安時代中期からの200年で7回倒れた。
6.春日:藤原氏が祀って広まった。祭神は春日神とされる一方で、4柱の神が祀られている。
7.熊野:熊野権現3社で13柱。神仏習合の平安時代に、浄土教信仰が盛んになった影響で熊野詣がさかんになる。密教の影響で山林修行を行う場にもなる。
8.祇園:記紀には登場しない。上賀茂神社では賀茂別雷命、下鴨神社ではその母の玉依媛命とその父の賀茂建角身命を祭神としている。祇園信仰は、祭りが伝播の上で重要な役割を果たす。
9.諏訪:4つの神社の集合体で3柱の神を祀る。御柱祭で有名。実は、数は新潟県に最も多い。
10.白山:もともとは白山を御神体とし、奈良時代の伝説の修行僧の泰澄が開いたとされる。天台宗色が強かったが、前田家の時代に真言宗になる。立山も修験道系の信仰によって仏教色が強かった。富士山を神格化したものが、浅間権現。

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