荒木飛呂彦の超偏愛! 映画の掟 (集英社新書) の感想

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参照データ

タイトル荒木飛呂彦の超偏愛! 映画の掟 (集英社新書)
発売日2013-05-17
製作者荒木 飛呂彦
販売元集英社
JANコード9784087206890
カテゴリジャンル別 » エンターテイメント » 演劇・舞台 » 演劇

購入者の感想

私が一番驚いたのは、著者が映画を観て涙を流すことがとても多く、同じ映画を観ても何度も泣けるということでした。つまり荒木氏は、少年のような鋭敏な感性を大人になっても保持しているのです。『ジョジョ』の人気の理由のひとつは、荒木氏が「頭で考えた」だけの理詰めの話ではなく、自身の鋭い感性をもとに魂と感情を本気で込めて描いていることではないかと思いました。

いっぽう荒木氏は映画を感情的に観ているだけではなく、かなり客観的かつ分析的にも映画を観ています。さまざまな映画について私が全く考えもしなかった見方がなされており、とても勉強になりました。たとえば「スピルバーグの最大の特性は、ひとつのシーンの中に、同時に複数のアイデアを詰め込むことだ(p73)」という記述にしても、いままで何気なくスピルバーグの映画を観ていた私には目からウロコがボロボロでした。今後彼の映画を観るときには意識してしまいそうです。

荒木氏が本書で挙げている映画は軽めのハリウッド娯楽映画が多いです。著者の本職が漫画という大衆向けの娯楽作品であることを考えれば当然かもしれません。

序盤で挙げられている「荒木飛呂彦が選ぶサスペンス映画Best20」を以下に記します(以下、一位から二十位までの順)。

ヒート、大脱走、96時間、ミスティック・リバー、許されざる者、サイコ、天国から来たチャンピオン、シュレック、ファーゴ、ダーティハリー、ボーン・アイデンティティ、シティ・オブ・ゴッド、激突!、アイズ・ワイド・シャット、バタフライ・エフェクト、マスター・アンド・コマンダー、運命の女、フロストXニクソン、バウンド、刑事ジョン・ブック目撃者

2013年5月17日発売の、荒木飛呂彦氏の2冊目となる映画論本です。

この本で紹介された、ある『ゴールデンラズベリー作品賞受賞』映画に対しての言葉

「世間が駄作と言おうが、僕の中では傑作なのです。」

というフレーズには、自身が映画本を出すという責任、覚悟と、『映画』そのものへの愛が伝わってきます。

 荒木氏の映画本としての前作『ホラー映画論』では、系統立ててホラー映画を紹介しており、映画に対する着眼点が漫画家独特だと思わせる新鮮な点も多々あり興味深い本でしたが、映画を紹介するに留まっている印象の作品も幾つか存在し、若干一つの作品に対する踏み込みが浅い、せわしないという印象もありました。
 それは荒木氏のホラー映画に対する情熱、愛情の結果、そぎ落としたくない作品を一冊に盛り込みたいとした結果なのでしょうが、本書 「映画の掟」 では、その印象が大きく改善されています。

 前作ホラー映画論は 「ゾンビ映画」「田舎に行ったら襲われた・悪魔のいけにえ系映画」等の
全10章による構成で執筆されており、今回も七つの章で構成されテーマごとの映画について展開する構成は変わっていないのですが、この本では一つの作品や監督に関して費やす情報量が増え、前作に比べて一つ一つの映画に関してより深く魅力と造詣が伝わってくる内容になっています。

 更にもう一つ前作のホラー映画論と比較をするならば、荒木作品ファンに対するサービスが色濃く感じられるようになった面です。例えば 第3章 「サスペンスの巨匠たちのテクニック」 中の デ・パルマのくだりでの一節では、 「ジョジョ第四部」 の仗助と吉良がすれ違い、仗助の視点から吉良の視点に変わっていくシーンが 『シーン転換するのではなく、つなぎ目なくカメラが一気に流れていくデ・パルマ映画』 のイメージを抱いて描かれた事など、彼の作品にも言及されている要素が増えていますので、彼の作品 「ジョジョの奇妙な冒険」 ファン及び荒木氏のファンにとっては、より興味深い一冊となっていることでしょう。

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