バカの壁 (新潮新書) の感想

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参照データ

タイトルバカの壁 (新潮新書)
発売日販売日未定
製作者養老 孟司
販売元新潮社
JANコード9784106100031
カテゴリ文学・評論 » エッセー・随筆 » 著者別 » や・ら・わ行の著者

バカの壁 (新潮新書) とは

ツꀀツꀀツꀀ2003年を代表する大ベストセラーであり、タイトルがこの年の流行語にもなった本書は、著者の独白を文章にまとめるという実験的な試みであった。「人間というものは、結局自分の脳に入ることしか理解できない」、これが著者の言うところの「バカの壁」であり、この概念を軸に戦争や犯罪、宗教、科学、教育、経済など世界を見渡し、縦横無尽に斬ったのが本書である。

ツꀀツꀀツꀀ著者は1937年神奈川県鎌倉市生まれ。東京大学医学部卒業後、解剖学者として活躍し、95年に東京大学医学部教授を退官後は、北里大学教授、東京大学名誉教授に就任した。また数多くの話題の書を著し、『養老孟司の“逆さメガネ”』『まともな人』『いちばん大事なこと―養老教授の環境論』『唯脳論』などがある。

ツꀀツꀀツꀀ本書の魅力は、容赦なく社会を批判する痛快きわまりない養老節にある。「現代人がいかに考えないままに、己の周囲に壁を作っているか」、つまりあの人たちとは話が合わないという「一元論」が「バカの壁」の元凶であり、アメリカ対イスラムの構造や日本の経済の停滞などもすべてこの理論で説明されるという。一方で、イチローや松井秀喜、中田英寿の際立つ能力を、脳の構造で解明してみせたり、「学問とは生きているもの、万物流転するものをいかに情報に換えるかという作業である」という骨太の教育論をも展開している。解剖学者の真骨頂を堪能できる価値ある1冊である。(田島 薫)

購入者の感想

本書は2003年のベストセラー、朝日新聞が大絶賛…と言う帯が少々引っかかるが、そこはさて置き。
著者の養老孟司は教育者として東大医学部法医学教室で教鞭を奮っていた。
その際のエピソードと過去の対談をまとめ直したのが本書である。
作者が前置きで断っているのだが、世の中には様々な考えがあるがどうしてあの人には話が通じないのか?と思う時が多々ある事がタイトルの由来だったそうだ。
そこで最初に引き合いに出されるのが出産について男女に映像を見せた際にどんな性差があるかと言う実験で、出産と言う我が身に関わる女性の方が「色々と~が勉強になった」と具体的な意見が多く、男性は「そんな事は知っている」と言う物だったそうだ。

それを性差、良い悪いで片付けるのではなくて、何故そう言った結論に至ったのかを客観的に書いている。
また作者は自分の言った事を真に受けるのではなく考え方の1つとして欲しいと言っており、考え理解する事の大事さを教えてくれている。

最終章近くになると今日の教育現場の問題を教育者の視点から語っており、本書からの言葉を借りれば「教育者になってしまった人と教育者になった人」この差がまず教育問題を生むという事を実例を交えて書いている。
この部分だけでもいいから指導育成をする人は目を通して欲しい。この本は間違いなく薦められる。

一般的な考えではなく養老氏の独特の考えを、出版社の人が聞き取って本にしたものである。
つまり、養老氏の独特の考えを、出版社の人の理解力・思考のフィルターを通して著した本である。
だから、かなり分かりにくいのは確かである。

養老氏がこの本で言いたいことは「人と人は別々の脳を持ち、したがって思考・感じ方も別々である。」ということだと思う。ところが、我々は「人も自分と同じように考える」と考えがちである。それが問題を引き起こす。
日本人との間で問題が起きる外国人留学生は、日本語を話せる留学生が多いという。日本語が話せるため、日本人は「この留学生は日本人と同じように考える」と思い込んでしまう。そこで、留学生が外国人としては当然の行為をすると、「この留学生は日本人と同じように考える」と思い込んでいる日本人は当惑してしまう。

私も年をとってから分かったことだが、「相手も同じように考えている」と思っていたのに相手が自分の意図と違ったことをしたとき、裏切られたと感じる。
「人と人は別々の脳を持ち、したがって思考・感じ方も別々である。」と初めから思っていれば、裏切られたとは思わないし、大きなストレスは感じない。

「人と人は別々の脳を持ち、したがって思考・感じ方も別々である。」から、もともと人はそれぞれ個性的なのである。だから、個性を伸ばすことより、社会生活に適応することを教育することが大事であると、養老氏は主張する。

「人と人は別々の脳を持ち、したがって思考・感じ方も別々である。」のは、この本のレビューが星ひとつとする人から星五つとする人までいることから明らかだろう。
だから、この本が理解できなくても養老氏を非難したりストレスを感じたりするのでなく、「人と人は別々の脳を持ち、したがって思考・理解・感じ方も別々である。」という事実を噛み締めてほしいと私は思う。

誤解されやすいタイトルである。〈「話せばわかる」なんて大うそ!〉という帯コピー、それに、カバー見返しの〈いつの間にか私たちは様々な「壁」に囲まれている。それを知ることで気が楽になる〉という紹介文は、著者の意図を理解して書いたのかどうか疑問だ。本書は決して、「どうせ『バカの壁』があるのだから、他人を理解なんてできない。ああ、気が楽だ」と、気楽にしてよいと主張するものではない。
本書の主張はこうである。「人はだれしも、世の中には『標準』『常識』があると信じ込んでいる。意見の異なる人を見ると『あいつは非常識だ』と見なして理解しようとしない(『バカの壁』のなせるわざ)。それでいて、自分は標準から外れて個性的になりたいと努力したりする。ところが、われわれの肉体はもともと非常に個性的であって、個性的になりたいというのは意味がない。むしろ反対に、もともと個性的なわれわれは、他の人々、他の民族との間に共通理解をさぐる努力をしなければならない。『自分の信念だけが正しい』と言うのでは共通理解への道は遠い。『人間ならふつう、こういうことをされたらこう感じるはずだ』というように、人間の身体感覚を基本に普遍的価値を探るべきではないか」
〈気が楽になる〉どころか、厄介な宿題をつきつける本だ。しかし不安も残る。「人間であればこうだろう」(p.202)という判断をするのも個々の人間だ。「人間ならば浮気をするのも仕方ない」と考える人間と、「人間ならば浮気などできないはずだ」と考える人間との間には、やはり理解は成り立たないのではないか?
全体に、精神訓話のような部分も多い。また、本書は、著者の話を編集部が文章化したものだそうだが、これでは一字一句に著者が責任を持てない。編集者の「バカの壁」で著者の話の意図が曲がっているかもしれないではないか?0

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