100万人の心を揺さぶる感動のつくり方 の感想

感動プロデューサーという生き方を１０年間積み重ねてきた著者のメソッドが結晶化された１冊です。

一読して驚きましたが、これ以上「惜しげもなく」という表現が合う本を私は知りません。
年間１冊ペースで新刊を生み出し続けている著者ですが、この本の執筆期間は１０年間と言えると感じました。
それくらい、今までの１２冊の著書の内容と、最新コンテンツが縦と横の糸で見事に紡がれています。
ブルーと白の２色刷りの鮮やかなコントラストも、過去と今という２本の糸を表しているように思えました。

この本を読んで、３つの「つ」が強く心に残りました。

一つ目の「つ」は、「伝わる」。

第１話が、「コミュニケーション力が向上しない意外な要因とは？」から始まっています。
人間の悩みの９割方は、その本質がコミュニケーションにあると思っているのですが、この本はそんなすべての人の悩みへの処方箋だと思います。

そして、二つ目の「つ」は、「つながる」。

テクニックやノウハウ的にコミュケーションを語る本は多いですが、この本が突き詰めているのは王道の「心がつながるコミュニケーション」。
心という目に見えない世界を、図解まで交えて詳細に解説しています。
「心と心がつながる」時、そこには何が起きているのか。そこにある普遍的な法則を明らかにしたのは著者の達見だと思います。
個人的には６３ページに書かれている図に衝撃を受けました。これを知るか知らないかで、人生が大きく変わってしまう必見の図だと思います。

そして、三つ目が本書のタイトルの中にもある、「つくる」。

人は誰しも感動したい生き物だと思います。
もし、すべての欲求が満たされたとして、それでも人が何かを望むとしたら、それは「感動」だと思います。
その感動のつくり方について具体的に体系的に書かれた本は、どんな人生論よりも人生を豊かにしてくれるものだと思います。

　SNSでつながっているつもりで気が付けば孤独だったという不思議な時代に私たちは生きています。自分の人生のつもりで、気が付けば誰かにすり込まれた生き方をしていたりもします。欲しいと思っているものも、実はそう思わされているモノだったりします。

　私たちが本当にほしいのは、モノではなく、心が暖かくなる物語、それも自分の意思で演じている物語です。その世界では、自分と相手の間に信頼の架け橋があり、瞳の輝きを互いに感じることができます。

　著者である平野氏は、ご自身の経験の中で、誰もが持つ能力をきちんと使う方法を学び練習を重ねれば、皆が物語を紡ぐ力があることを証明してこられました。一つは企業の社員へのサポートであり、いま一つは本書の中にも出てくる感動塾に参加される一般の方へのサポートです。その活動を貫くメッセージは、「感動創造とは、人の役に立ち、笑顔を生み出す、クリエイティブでやりがいのあること」ということです。

　自ら輝くことに成功された実例がふんだんに盛り込まれた内容になっていますので、丁寧に読んでいただくことで、小手先のサプライズに頼らない、人も自分も輝ける「感動のつくり方」が手に入ると思います。そして、同時に本当の人と人のつながりも回復している自分に気づくはずです。なぜなら、私たち「一人ひとりがオリジナルな恩のかたまり」であることに気づけば、それを心から大切にしたいと思えるようになるからです。

　多くの方に是非読んでいただきたい一冊です

　追伸）本書の中にあるURLから視聴できるサントリーホールでの公演、音楽付きの語りは、最高の付録になっています。