白洲正子: ひたすら確かなものが見たい の感想

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参照データ

タイトル白洲正子: ひたすら確かなものが見たい
発売日販売日未定
製作者挾本 佳代
販売元平凡社
JANコード9784582836363
カテゴリ »  » ジャンル別 » ノンフィクション

購入者の感想

 戦後、日本人は物質的な繁栄と引き替えに、多くの大切なものを失ってきた。それらは特に「精神性」ともいうべき、直接目には見えないものかもしれない。何かが足りない、何かを置き去りにしてきたという感覚はあるものの、その実態がなかなかつかめないまま、われわれは喪失感だけを抱き続けてきたような気がする。
 しかし、本書を読んで、それが何か可視化されたような気がした。その喪失感の根底にあるものが何であるかを教えられたのだ。急速な西洋化の中でつい目を背け、そのまま忘れ去られようとしてきた日本文化の神髄。それらはわれわれにとって、ごくごく身近なものでありながら、いかに遠くに追いやられようとしてきたか。そんなことを改めて気づかせてくれるのが本書だ。
 白洲正子。これまであまり意識することのなかった人物。今、この人に無性に会ってみたいと思ってみても、もう手遅れなのか。いや、そうではない。彼女の著作が残っている。そしてそれらをどう読み解くか、われわれにとっての「確かなもの」とは何かを教えてくれる本がここにあるから。

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