高齢者診療で身体診察を強力な武器にするためのエビデンス の感想

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参照データ

タイトル高齢者診療で身体診察を強力な武器にするためのエビデンス
発売日販売日未定
製作者上田剛士
販売元シーニュ
JANコード9784990722135
カテゴリジャンル別 » 医学・薬学・看護学・歯科学 » 臨床内科 » 総合診療・プライマリケア

購入者の感想

私は今、老人保健施設で医師として働いており、与えられた環境下でいわゆる「ローテク」の組み合わせで利用者の診断精度を高められるはず、と考えていました。この本は自分の考えが奇想天外ではなかったようだ、と得心しましたし、このハイテク時代にタイムリーに発刊下さった事に感謝します。

前著「ジェネラリストのための内科診断リファレンス: エビデンスに基づく究極の診断学をめざして」で、その「分厚い診療」で私たちの度肝を抜いた著者の、今度はclear, colorful, and conciseな快著である。評者は上田先生とは面識ないが、普段どのような診療を行っておられるのかが眼前に浮かぶかのように感じた。

不案内にして知らなかったが、2000年以降「高齢者の身体診察に関する論文」が多数出ているとのことである。
評者は(リウマチ科という専門のため)、特に「炎症の存在・局在とその程度」を見積もる身体診察を得意としているが、高齢者を診療するジェネラリストは「循環・呼吸状態の評価」「運動機能の評価」といった軸にまとめられる身体診察も重要と思われ、本書では(そのような「軸に沿ったまとめ方」ではないものの)プラクティカルな日常臨床におけるプロブレム各々について、決して「エビデンス」を過度に振り回すことなく、所々は洒脱な調子でまとめている。シャツの上からの聴診はほんとうに臨床的意義がないのか?著者は「決して勧められない」としながらも、Respiration 2008の論文を引きつつ「シャツの上からでも250-500gの圧をかけて聴診すれば、音の減衰はそれほどではない」とする。なるほどねぇ。
何より、冒頭第1章の写真を店頭で見ていただきたい。そこで破顔大笑された方は、そのまま手にとった本を会計に持っていかれるとよい。

以下は評者の専門領域からのコメントで、trivialな指摘に属する。本書の価値を減ずるものではない。
・ p46 「splinter hemorrhageが爪の遠位3分の1に出現した場合は外傷性で、感染性心内膜炎を示唆しない」と本文に記載されているが、図37のsplinter hemorrhageは遠位3分の1にあるように見える (この図を棄却したくなかった気持ちはわかります)

高齢者診療で身体診察、あまりに当たり前の内容のタイトルだったが、上田先生の本なので買ってみた。診断リファレンスが辞書的だったのと異なり、さらりと読めた。まず一つ目にオールカラーで図表が多く見やすい分かりやすい。高齢者の肺底部のcracklesは1呼吸2回までは聞こえてよいとか、診察嫌がる認知症患者で服の上から聴診するなら550g以上の力で押しつけるとよいなど、そんなことを調べている人がいることに驚く論文が多数紹介されている。高齢者診療だけではなく日々の診療に役立つヒントが得られる本。私が読み終わった所で看護師が気に入って借りていった。ちゃんと系統的に勉強できる本という訳ではないが、役立つTipsが多く書かれていることからは研修医のみならず看護師やリハビリの先生にもお勧めの本だと思う。

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シーニュから発売された上田剛士の高齢者診療で身体診察を強力な武器にするためのエビデンス(JAN:9784990722135)の感想と評価
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