お母さん、ぼくが生まれてごめんなさい (扶桑社文庫) の感想

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タイトルお母さん、ぼくが生まれてごめんなさい (扶桑社文庫)
発売日販売日未定
製作者向野 幾世
販売元扶桑社
JANコード9784594046422
カテゴリ »  » ジャンル別 » 文学・評論

購入者の感想

この詩だけで誰もがウルっと来ると思うのですが・・・
「やさしさこそが 大切で
 悲しさこそが 美しい
 そんな 人の生き方を
 教えてくれた おかあさん」
15歳の少年にこんな言葉を書かせた背景を知りたくて、この本を読みました。
やっちゃんのお母さんの奮闘ぶりには子を持つ親としてただただ圧倒されるばかりです。
福祉施設や制度は充実してきましたが、重症心身障害児と呼ばれるお子さんを持つご家庭では、今も変わらず同じようなご苦労があるのではないでしょうか。
当事者でなくとも、周りの人間が、そのようなご家庭の状況や心情に触れることは、決して同情を引き起こすのではなく、同じ人間として心を振るわせるものがあります。
自分が生きること。相手が生きているということ。
人が生きることをこんなにも深く見つめ直させてくれた本は初めてです。
 

2007年7月13日、フジ系全国ネットで放映された、この本をもとにした同名のドラマをきっかけに、本書を手にとりました。そのドラマで、やっちゃんのお母さんを演じた森昌子さんは、くしくもその29年前の1978(昭和53)年3月10日、やはりフジ系でオンエアされた『小川宏ショー』の中で、やっちゃんの遺した詩に遠藤実さんが曲をつけたものを歌い、それが大きな反響を呼んでいたのでした。
やっちゃんは、森昌子さんの大ファンだったそうです。

それにしても、これはなんと胸に迫る本なのでしょうか。
いつもなら、こうした類のお話のことを「ケッ!」などと思っていたに違いない自分が、ページをめくりながら、泣けて泣けてしかたなかったのです。
やっちゃん、そしてお母さんはじめご家族が背負った荷物はあまりにも重く、とりわけ街に出た時、見知らぬ人々から浴びせられた心ない視線や言葉は、どれほどやっちゃんやお母さんを傷つけたことでしょう。けれど、そんな中でもお互いを思いやる気持ちは決して忘れなかったということが、やっちゃんの書いた詩、そしてそれにつらなる、お母さんの書いた詩のことばの中に、あらわれていると思います。やっちゃんの通った養護学校の教師として、その営みを見つめてきた向野(こうの)さんは、あくまで落ちついた、やさしい語り口で、共に歩んだ日々を綴っています。
ぜひ、できるだけたくさんの方に読んでいただきたい1冊です。

最後に。
今これをお読みになっている、すべての方にお願いです。
ハンデのある人を街で見かけても、決してジロジロ見つめたりしないでほしいのです。
その何気ない視線が、どれだけ当事者たちのこころを傷つけていることか。
そして、版元のみなさんにお願いします。
このすばらしい本が、途切れることなく読みつがれていくよう、どうか末長く、よろしくお願い申し上げます。

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