言い触らし団右衛門 (中公文庫) の感想

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参照データ

タイトル言い触らし団右衛門 (中公文庫)
発売日販売日未定
製作者司馬 遼太郎
販売元中央公論社
JANコード9784122019867
カテゴリジャンル別 » 文学・評論 » 文芸作品 » 日本文学

購入者の感想

『言い触らし団右衛門』『おお、大砲』『岩見重太郎の系図』『売ろう物語』『雑賀の舟鉄砲』
の計五作品が収録されている短編集です。
なかでも表題作『言い触らし団右衛門』は、司馬遼太郎作品群の中でも大好きな短編です。

『言い触らし団右衛門』は、関ヶ原終戦後の平和な小康状態を時代背景として
主人公の団右衛門が愛宕山へ戦争祈願をする場面から物語が始まります。

どこまでも陽気で、無邪気で、豪儀で、我がままで、通俗的で、愛らしい団右衛門なのですが
一方で団右衛門は、その大きすぎる欲と感情と才気をもてあまし、
団右衛門にとっては場違いな平和な時代に生きざるを得ない悲しみも抱いています。
総体としてドンキホーテのような好ましい滑稽さを帯びている人物です。

大坂の役を通じて、団右衛門はどこまでも自分勝手に行動し、周囲を巻き込み、迷惑をかけ
なによりも自己の才覚を思う存分発揮することができ、勝手に満足して戦死します。
そこには、嫌味が微塵もなく、すがすがしく、あたたかい滑稽味のある作者の視線があり
嫌な気持ちになることなく、爽やかさな読後感を与えてくれます。

司馬遼太郎は、余談・考察が多い、文明考察がメインな小説を多々書いていますが
その一方で、自己の実現に全存在をかける破滅的で滑稽で愛らしい主人公を多く描いています。
短編として物語、構成、描写、キャラクタもうまくまとまっている『言い触らし団右衛門』は
また英雄の典型を描き出す司馬遼太郎作品群の中でも一つの極北だと思います。

また、団右衛門の活躍をもう少し見たい方には、大坂の役を描いた『城塞』もお勧めします。

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