街場の憂国論 (犀の教室) の感想

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参照データ

タイトル街場の憂国論 (犀の教室)
発売日販売日未定
製作者内田樹
販売元晶文社
JANコード9784794968111
カテゴリジャンル別 » 人文・思想 » 哲学・思想 » 哲学

購入者の感想

 日本の閉塞感とは言い古されているが、これは内向きである事によって引き起こされたものではない。
 むしろ多くの人々が世間における「損得」「優劣」の観念に雁字搦めになっており、そのため必然的に卑劣な生き様になっている事を原因としているものという事を指摘し、論証しているのが本書である。
 実際ここまで明確に日本の状況を語った書は珍しい。閉塞感に悩む全ての人々に読んで欲しい本である。

 内田樹さんの「街場」シリーズ最新刊。今回は、内田さんのブログから「憂国」をテーマにコンピレーションした本ということです。基本的にはブログで読めるし、ちょっと値が張るので図書館で借りて読みましたが、読んでみると内容が非常に濃いですし、まとまりもいいので購入してじっくり読みたいなと思った位のものでした。

 あとがきの「<アンサング・ヒーロー>という生き方」がとてもぐっときました。現代はあまりに市場経済的な価値観に毒されている、損得勘定ではない部分が大事である、という考え方が全編を貫いていると感じましたが、<アンサング・ヒーロー>は朝鮮民話の「ねぎを植えた人」のような存在なのかなと思います。アンサング・ヒーローこそが社会を支えている―功績があっても名前が知られない存在。それをよしとする存在。彼らの数が減っていると内田さんは言います。人に功績が知られなければ意味がないと考える功利主義が時代のすう勢だからです。勝ち組による負け組・弱い奴叩きというのも良く分かる気がします。彼らは「向上する努力を怠って社会的に負けるようなやつらはいじめられて当然」と思っているようです。何を持って強いとし、何を持って勝ち組とするのか?「成功」や「幸福」を計るものさしのバラエティの少なさにぞっとします。彼らは他人のそれが自分のもの異なっていることを容認するだけの寛容さに欠けているのです。
 

 大声で自分の功績を誇らないヒーローの大勢いる社会。そんな声なきヒーローの存在を認識し、感謝し、尊ぶ社会。カネばかりじゃない、名誉ばかりじゃない。そんな社会にもう一度、日本がなっていかねばと思います。

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