幻年時代 の感想

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参照データ

タイトル幻年時代
発売日販売日未定
製作者坂口 恭平
販売元幻冬舎
JANコード9784344024304
カテゴリ文学・評論 » エッセー・随筆 » 著者別 » さ行の著者

購入者の感想

読んでいて自分の幼い頃のことがいくつも思い出されて涙が出ました。
忘れかけていた自分の記憶、既知との遭遇。
思いも文章も実に美しかったです。

坂口恭平と一般人の違いは物事に取り組む姿勢の本気度だと思う。
一般人が触らぬ神に祟りなしなどといって深く掘り下げもせず逃げてしまうようなテーマに真正面から組みついていけるところだ。事実、彼はこれまでよくやってきた。態度経済、ゼロ円生活、福島、独立国家……インタビューや対談などでおどけた口調で自身の行動原理を語る彼だが、どれも本気だったはずだ。
そして彼はこの幻年時代で、その「自分語り」に本気を出してきた。ひたすら行動する段階を乗り越え、自分をブランド化する段階にまで上り詰めたのだ。これからも彼が総理大臣として、またゼロセンターのトップとしてやっていくにはこれまでと同じままではいかないはず。態度経済を提唱して人一人が貨幣だと本気で言い続けていくには基準が必要になるのだから。
だがこの幻年時代が新時代のカリスマのブランドを成立させるほど高度なものかといえば、そうではない。彼のこれまでの活動遍歴を知らなければ、おお、面白い子供がいたのね、で終わってしまう。面白い子供なんて世界中にいる。世界中の子供こそが革命者だと言うならば、面白い子供が飢えて死ぬという当たり前がただ続くだけです。僕は坂口氏の活動には何の関与もしてませんし、これからもする気はありませんが、本気でなにかを変えたい、または作りたいのなら、自分語りをこの本で終えてはいけないと思う。たぶん坂口氏本人もそのつもりはないでしょう。もしかしたらこの幻年時代は何かの準備段階にあたる作品かもしれない。そういう期待も抱きつつ、評価は普通の星3です。

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