黒い罠 完全修復版 [Blu-ray] の感想

アメリカ人の妻スーザン(ジャネット・リー)と国境の町ロス・ロブレスを訪れていたメキシコ政府調査官ヴァーガス(チャールトン・ヘストン)は、車の爆発事故に遭遇する。被害者は、建設会社を営む富豪リネカー(ジェフリー・グリーン)とその愛人。どうやら、メキシコ側で爆弾が仕掛けられたらしいということで、否応なく、ヴァーガスも捜査に協力することになる。捜査を指揮するアメリカ側のクィンラン警部(オーソン・ウェルズ)は、必ず犯人を挙げる人物として知られているのだが…。

1947年の『上海から来た女 [DVD]』から、実に11年ぶりに、オーソン・ウェルズが、ハリウッドのメジャー会社(ユニバーサル)で手掛けた傑作フィルム・ノワール。ウェルズとしては、メジャー会社での本格復帰作として意気込んで作ったものの、ポスプロの段階で、会社に勝手に編集、不本意な形で公開され、彼にとって最後のハリウッド・メジャー作品となってしまった。その後、1998年に、ウェルズの製作意図を記した58頁のメモに基づき、(ウェルズの意図に一番近い形に)復元されたのが本版だ。日本劇場初公開(劇場公開版)は、1958年7月5日。