心の深みへ―「うつ社会」脱出のために (新潮文庫) の感想
参照データ
タイトル | 心の深みへ―「うつ社会」脱出のために (新潮文庫) |
発売日 | 2013-02-28 |
製作者 | 河合 隼雄 |
販売元 | 新潮社 |
JANコード | 9784101252315 |
カテゴリ | » 本 » ジャンル別 » 文学・評論 |
購入者の感想
河合隼雄と柳田邦男の対談は濃密であり、心について考えるとき、参考にしたい要点が豊富だ。ただし、心とは
こういうものであるという「答え」を知りたい人には不向きな書だ。心とは、「もの」ではなく、「ひと」という
存在を意味づけている何かだろう。だから、結論付けは、極めて難しい。
興味深いエピソードが披露されている。医学部での報告会。ある亡くなった息子の父親が、臓器提供するが
角膜だけは、やめてくれと言う。自分が後からあの世に行ったとき、識別してもらえないからだと。
これに対し、何とも非科学的、考え方を改めてもらわねばという発言に、教授会の殆どは賛同。ただ一人、
科学で割り切って捨てるのではなく、父親の心情を大切にすべきだという人がいた。精神科医だった。
時代なんだろうとおもう。「ひと」より物質的な「もの」に思考の重点は移されている。「もの」という目に
見えるものの価値が偏重されてしまっては、真の幸福から遠ざかるだけとの想いに耽る。
こういうものであるという「答え」を知りたい人には不向きな書だ。心とは、「もの」ではなく、「ひと」という
存在を意味づけている何かだろう。だから、結論付けは、極めて難しい。
興味深いエピソードが披露されている。医学部での報告会。ある亡くなった息子の父親が、臓器提供するが
角膜だけは、やめてくれと言う。自分が後からあの世に行ったとき、識別してもらえないからだと。
これに対し、何とも非科学的、考え方を改めてもらわねばという発言に、教授会の殆どは賛同。ただ一人、
科学で割り切って捨てるのではなく、父親の心情を大切にすべきだという人がいた。精神科医だった。
時代なんだろうとおもう。「ひと」より物質的な「もの」に思考の重点は移されている。「もの」という目に
見えるものの価値が偏重されてしまっては、真の幸福から遠ざかるだけとの想いに耽る。
とても10数年前に出版された本の再出版本とは思えませんでした。
数ある河合隼雄の講演集での話の内容よりも、この本はさらに踏み込んだ
死生観の大切さを訴えているように思えました。この本を読んで、河合隼雄の
偉大さを再認識しました。またこの本を通してキューブラ・ロスの偉大さも再認識
しました。心理学を学ぶ方々には必読書であると思います。
数ある河合隼雄の講演集での話の内容よりも、この本はさらに踏み込んだ
死生観の大切さを訴えているように思えました。この本を読んで、河合隼雄の
偉大さを再認識しました。またこの本を通してキューブラ・ロスの偉大さも再認識
しました。心理学を学ぶ方々には必読書であると思います。